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趙廷来氏が長編小説「千年の問い」を発表、「国民にとって国家とは…」に答える

趙廷来氏が長編小説「千年の問い」を発表、「国民にとって国家とは…」に答える

Posted June. 12, 2019 07:42,   

Updated June. 12, 2019 07:42

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「今日、世界の模範となる国はスウェーデン、フィンランドなど欧州の福祉国家です。今後、平和的な革命を通して(韓国も)そうなることを願います」

『太白山脈』『アリラン』などを書いた小説家の趙廷来(チョ・ジョンレ)氏(77)が長編小説『千年の問い1〜3』(ヘネム出版社、一冊1万4800ウォン)を発表した。『草花も花』以来3年ぶりの新作だ。40年間、鋭い視線で同時代の社会問題を捉えてきた作家は、今回の作品で格差問題と不正腐敗を取り上げ、具体的な提案を示そうとする。

趙氏は11日、ソウル中区の韓国プレスセンターで開かれた記者懇談会で、「1976年頃から国家経済の構造に疑問を抱き始めた。当時、富の蓄積ばかりに目が行ったので配分の問題が長年手付かずのママであった。そのしわ寄せで格差問題はさらに深まった。孫の代くらいは、正常な国で暮らせるようにしてあげなきゃという思いが溶け込んでいる」と語る。

小説は、残酷な資本と権力を前にジタバタする群像をリアルに描いている。経済的には貧しいが義侠心に溢れる時事ジャーナルの記者チャン・ウジン、代筆と講師で生計を立てている非常勤講師のコ・ソクミン。彼らの苦悩を中心に、財閥グループの裏金を巡る追撃戦が繰り広げられる。国会議員、財閥グループの婿、企業の裏金担当役員たちの闇のつながりは、現実に起きた事件と重なる。趙氏は、「この作品は『国民にとっての国家とは?』の問いに答えるもの」と語った。

「植民地を経験した私たちに国家は必要です。しかし、国家が権力に変わる瞬間、腐敗し堕落、横暴になります。権力を与えた国民には、それを防ぐ義務があります。政治に無関心なのは、すなわち自分の人生に無責任なことと同じです」

趙氏は20年間、国家というテーマを暖めてきた。書籍、メディア、取材などを行った後、執筆に取り掛かった。その間、書きためた取材ノートだけでも130冊余。ジャーナリストを主人公にしたのは「記者は社会の灯火、酸素でなければならない。記者が主人公なら、作家の望む事柄を十分にやってのけるだろうと思った」と話した。

「北の核問題の解決が順調でないところが不安です。また、経済状況が厳しいのは、一つの政権に責任があるわけでなく国際社会の問題まで絡んでいるので大変です。しかし、国会は破廉恥でお粗末な口喧嘩で時間を無駄にしています。与党と野党は同じく責任を感じ、難局を解決することに力をあわせるべきです」


李雪 snow@donga.com