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購読する「半額カミソリ」ブーム、業界のネットフリックスを目指す

購読する「半額カミソリ」ブーム、業界のネットフリックスを目指す

Posted April. 03, 2020 08:06,   

Updated April. 03, 2020 08:06

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消費者の価格負担が小さくなかったカミソリ市場を変えたいと言って、カミソリの製造に飛び込んだ若者がいる。横=4センチ、縦=1センチのカミソリに人生をかけたその若者は、「半額カミソリ」を定期的にお届けしたことで、カミソリの購読時代を切り開いた。

カミソリ・スタートアップ「ワイズリー」のキム・ドンウク代表(31)は、2017年、弟や元職場の同僚と共同で起業した。2018年1月に最初のカミソリ発売以来、今まですべての製品はひたすら自社のホームページでのみ販売している。流通費などを抑えたおかげで、価格は他社のカミソリの半分ぐらいだ。また、交換周期に合わせて、カミソリの刃を定期配送する購読サービスを導入した。独自のブランドを掲げたカミソリの刃の定期配送は、ワイズリーが国内では初めてだ。

知人たちは、「誰がスタートアップが作ったカミソリを買うだろうか」と懸念したが、高価なカミソリ価格が不満だった顧客たちは、快く財布のひもを緩めた。そのおかげで、発売から2年後にワイズリーの国内市場シェアは6%に上昇した。20代ではなんと10%に達している。

元々キム代表の夢は就職だった。大学卒業前に韓国P&Gに入社したが、「果たしてこれが私が願う人生」なのかという懐疑心を抱いて、1年後に辞表を出した。「他人から分かってもらえなくても、自分のビジネスを手がけることが、本当に願っていた生活であることに、あの時気づきました」

その後、ベビー服事業に挑戦したが、準備不足ですぐに失敗した。失業者となったキム代表は、当時自炊を始めたばかりで、これまで両親から買ってもらっていたカミソリの刃を初めて直接購入した。この時の経験が、カミソリ起業の火種となった。「カミソリの刃が途方もなく高かったのです」

元職場の同僚に尋ね、海外資料をあさりながら、カミソリの刃の値段が高い原因を探した。彼が独自に下した結論は、グローバル企業の長年の独占だった。世界のカミソリ製造工場の多くは、すでに倒産したり、グローバル企業が買収した状態であり、特許の壁も高かったと彼は分析した。「新しい競争相手が出にくい構造なので、有名カミソリ・ブランドの営業利益率は、アップルより高い30%に達したのです」

あの時、「カミソリ市場を変えてみよう」とは決心したが、先に実力を積むために、コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」に入社した。2年半後に2度目の辞表を出して本格的に起業に没頭した。「お客様の賢明な消費を助ける」という意味を込めて、社名をワイズリー(wisely)に決めた。カミソリの刃は、100年の歴史を持つドイツの専門メーカーから供給を受けたが、カミソリは直接作らなければならなかった。

人材と資金共にギリギリの状態だったが、顧客の反応を聞くことには惜しみなく投資した。発売前に募集した体験団4000人にレビューと改善点を細かく尋ねた。実際、剃りの習慣を観察しようと、顧客の自宅まで訪ねて行った。客の些細な不便さまでを見つけるためのプロセスだった。ワイズリーは、他社のカミソリは棚の上に乗せておけばよく落ちるという問題を解決しようと、カミソリのハンドルの上部を平らに設計した。

キム代表は起業後、これまで直接会ってインタビューした客だけで約400人にのぼる。従業員30人のうち4人は、ひたすら顧客の苦情や意見を聞く業務のみを担当している。このように集めた顧客の意見が、ワイズリーの競争力の源と言える。

彼は、カミソリ業界の「ネットフリックス」を夢見ている。月額でお好みの映像を存分に見られるネットフリックスがコンテンツ市場を革新したように、カミソリ市場の独占寡占を破り、カミソリの使用習慣までを健康に変えるという抱負だ。

彼は、製品やサービスを一定期間使う見返りとしてお金を払うこのような「サブスクリプション(購読)経済」が、未来経済の生態系の重要な柱になるだろうと見ている。サブスクリプション経済は、「所有」より「経験」を重視する最近の消費トレンドと合致して、さらに成長するだろうと予想している。キム代表は、「毎日使う生活必需品の市場で、サブスクリプションサービスを導入すれば、多くの消費者が先に確保されているので、革新できる部分が多い」とし、「今後、スキンケア製品などの生活必需品部門で領土を広げていきたい」と語った。


金鎬卿 kimhk@donga.com