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粒子状物質の移動経路を韓国衛星で追跡

Posted February. 20, 2020 08:23,   

Updated February. 20, 2020 08:23

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18日午後7時18分(現地時間・韓国時間は19日午前7時18分)、南米フランス領ギアナのギアナ宇宙センターの管制室は緊張感が溢れていた。国内独自の技術で開発した海洋及び環境観測静止軌道衛星「千里眼2B」号が、欧州の宇宙発射体「アリアン5」で打ち上げられたからだ。千里眼2B号は、打ち上げから31分後の午前7時49分にロケットから分離され、再び6分後の7時55分に豪州Yatharagga管制所との交信に成功した。打ち上げが成功したというシグナルだった。管制室では、成功を祝う歓声が静かに上がった。

千里眼2B号は、韓半島の約3万6000キロの上空で、韓半島周辺地域の大気環境をまるで動画を撮るようにリアルタイムで観測する世界初の静止軌道衛星である。搭載された環境センサーが二酸化窒素や二酸化硫黄、オゾンなどの粒子状物質を形成したり、気候変動を引き起こす大気汚染物質を10年間、精密に測定する。粒子状物質が北東アジアのどの地域でどのように形成され、どのルートで国境を越えてくるのかが明らかにできる。張倫碩(チャン・ユンソク)国立環境科学院長は、「既存の衛星は一日に1、2回環境を観測できたが、千里眼2B号は、日中の12時間継続的に観測できるので、非常に詳細で正確に粒子状物質の経路を把握することができる」と語った。

海洋環境を精密に監視する機能も備えている。搭載された海洋センサーが赤潮や褐色潮、緑潮、アカモクなどの発生を観測できるだけでなく、海洋ごみ投棄の現状や汚染物質の移動状況までをリアルタイムで監視できる。海霧や雪解けの発生状況を探知して事前に警告し、漁場をモニタリングして漁業にも役立つことができる。ユ・ジュヒョン韓国海洋科学技術院(KIOST)海洋衛星センター長は、「海洋の水温が長年に渡って上下するエルニーニョ現象やラニーニャなど、国際的海洋環境の変化を研究することにも寄与できる」と語った。

林澈虎(イム・チョルホ)韓国航空宇宙研究院長は、「数カ月間の試験運用期間を経た後、海洋センサーは今年10月から、環境センサーは来年1月から本格的に観測任務を開始する計画だ」と明らかにした。

千里眼2B号は、2018年12月に打ち上げられた気象観測静止衛星「千里眼2A号」の双子の衛星である。二機の静止軌道衛星を独自に開発したことで、韓国は静止軌道衛星と関連ソフトウェアの開発技術を確保した。政府は、確保した技術を、今後の研究機関と民間企業で静止軌道衛星を開発する際に活用する予定だ。鄭炳善(チョン・ビョンソン)科学技術情報通信部第1次官は、「公共研究結果を民間が活用できるように、技術移転を推進したい」とし、「民間企業の参加を奨励するために、政府が衛星需要の創出の先頭に立ちたい」と語った。

千里眼2B号は、科技情報通信部と環境部、海洋水産部の多省庁の協力事業として、2011年から開発された。韓国航空宇宙研究院が総括主管し、韓国海洋科学技術院と韓国航空宇宙産業、米ボールエアスペース社、フランスエアバス社などが開発に参加した。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com