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ウイルスが揺さぶる経済

Posted February. 14, 2020 08:13,   

Updated February. 14, 2020 08:13

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活動の自由を大きく制限されたことのない体制で生まれた私たちは、あまり認識していないことがある。私たちが見知らぬ人に会って何かをしようとする行為そのものが、経済の主な動力だということだ。

新型コロナウイルス事態のために、改めて出会いの経済的重要性が浮き彫りになっている。欧米の経済学者は、これに対する理解を高めるために、中国が集団生活体制を維持していた開放化以前の時期を事例としてあげたりする。1990年代初頭に直接会った中国気象庁の職員たちは、全員がアパートで生活しながら、同じ食堂、同じオフィスビルで生活していた。経済学者らは、長い間そのような状態にあった人々には、今の携帯電話や自動車、化粧品が提供されてもあまり効用がないだろうと言う。知り合いの人たちが皆同じ垣根の中で、皆同じ制服を着て生活するため、頻繁に携帯電話を使うことも、素敵な装いをする機会も少ないからだ。

依然としてなかなか理解できないが、街で人が消えた中国武漢市内の通りの写真を見れば、恐怖すら感じられる。韓国でも、人々が出会いを気にして、デパートや公演会場などで経済的萎縮が現れている。見知らぬ誰かに会おうとするから、喫茶店やレストラン、自動車、携帯電話等が必要となる。

新型ウイルスが人に害を及ぼさなかったら、日常は維持されただろう。しかし、目に見えないウイルスのために人が死ぬことが発生した瞬間から、状況は変わる。免疫の弱い人には大きな害を及ぼしかねないという考えで、人々は行動半径を減らすことになる。このような状況で、韓国では完治患者が出続けていて幸いだ。感染者が突然増えて、病院の収容能力を超えることさえ起きなければ、感染症の治療にも特に問題はないように見える。安全だと断定するにはまだ早いが、ウイルスに対する漠然とした不安は減らしてもいいではないかと思う。経済萎縮により、庶民経済など脆弱な輪が先に切れることは防がなければならないからだ。

新型ウイルス事態は、中国との交流の多い韓国に、考えるべき問題も投げかけている。ウイルスは、韓国の自動車工場を止まらせた。重要な部品ではないのに、中国に供給先を集中させたことで、中国内の物流と生産に問題が生ずると、工場が止まったのだ。地震などの災害の多い日本では、目の前の経済性よりは、安定した運営のために、サプライチェーンを管理している。

新たに登場している共有経済に及ぼす影響も、この機に考えてみなければならない。ウイルス感染が心配されるので、道には共有自転車や共有キックボードが止まっていることが増えている。公共交通機関を利用していた人たちの中には、家の中にウイルスを移すことを気にして、車を利用することが増えている。共有経済が安定的に定着するためには、感染症事態への対応は欠かせないとみられる。

生産の支障と国内消費の萎縮などにより、外国経済機関が韓国の経済成長率予測値を下げている。もしウイルスが原因で、実際に経済成長率が下がれば、政府は景気刺激策を準備しなければならず、これには金利を下げる金融政策が動員される。金利が下がれば、住宅価格を上昇させる要因となる。まだ予測に過ぎない。経済的な副作用が大きくならないように、政府、企業、個人などの各経済主体が、均衡点を探すべき時である。大統領が連日、「過度に不安を感じる必要はない」というメッセージを出していることも、このような理由からだ。

この機会に、人の活動を制限する要因はウイルスだけではないということも、政府当局が切実に認識してほしい。政策と制度は、人々が会って自由に経済活動ができるようにすることに焦点を合わせるべきだ。


ホ・ジンソク記者 jameshuh@donga.com