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「最近、韓国に何かありますか?」

Posted December. 14, 2019 08:12,   

Updated December. 14, 2019 08:12

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「最近、韓国に何かありますか?」

米ニューヨークでレストランを経営するA社長は先日、ビジネス・アイデアを得るために韓国を訪れた。彼は、「盛んに商売をしなければならない午後7時頃、ソウル鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)、江南(カンナム)レストランのテーブルが空っぽなのを見て驚いた」とし、「レストランが潰れるのではないか心配だった」と話した。A社長はソウルで「週52時間労働制」の導入以来、変わった都心レストランの風景を見てきたようだった。私たちにはおなじみの話も、せっかくソウルを訪れた彼には不慣れのようだった。彼は、「韓国に一体何が起こったのか」と残念がった。

ソウルで勤務時間が短縮され、飲み会が減り、早く帰宅する会社員が多くなり、夜の商売が芳しくないと話しながらも、気まずかった。米国は、事務職と専門職などの例外職種を除いては法定労働時間が週40時間だ。それでもA社長のニューヨークのレストランは、夜の商売でテーブルを3〜4回回転させなければ大変なことになる。

米国経済は、昨年2.9%成長した。今年は2.2%、来年は2.0%の成長を予想している。潜在成長率(1.9%)を上回る成長振りだ。それでもマンハッタンの不動産市場の雰囲気は良くない。供給が増えた上、税金まで膨らんで価格が下落した。しまいには、不動産ブローカーたちが、「今はマンハッタンで『石ころ』だけを買ってもお金になる」として海外の金持ちを誘惑する。住宅価格だけが暴走するソウルとは雰囲気がずいぶん違う。

天井知らずに高騰するソウルの住宅価格は、米国の同胞に取っ手は驚くべきことではない。ただ、経済も、雇用市場もあまりよくないのに、住宅価格だけが間髪を入れずに上がり、住宅価格が上がってもレストランに客があまりないというのがおかしいだけだ。所得格差を減らし、富の不平等を解消し、経済を蘇らせるという所得主導成長の実験が2年間行われている韓国経済は、今年は潜在成長率(2.5〜2.6%)を下回る2%の成長まで心配している。それでも所得主導成長の司令塔である大統領府の参謀たちが、高価な住宅一つで年間数億、10億ウォン台の財産が増え、資産格差を広げたという信じられない話も聞こえる。

A社長のソウル訪問が所得がなかったわけではない。食べ物の注文と会計をやってくれる機械を導入したレストランをソウルで学んで、ニューヨークで挑戦してみるつもりだ。米国の労働市場は、半世紀ぶりの最低失業率を見せている。人手が足りず、最低賃金引き上げに対する拒否感は低いほうだ。商売がだめだと心配しているソウルのレストランの社長が感じる最低賃金引き上げの厳しさは、ニューヨークとは当然異なる。

米民主党は、ドナルド・トランプ米大統領の弾劾訴追案を公開してから1時間後に、来年の選挙でトランプ大統領の大きい経済的治績の一つである米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に超党派的合意をした。本音はどうであれ、大統領弾劾の議論と大統領選挙を控えた緊急局面でも、民生用の「対話と妥協」の政治が一部回っているという意味だ。超党派的合意どころか、予算案、選挙法の強硬可決を巡る攻防が繰り広げられる韓国政界とは異なっている。

ソウル都心のレストランのテーブルまで休ませた「週52時間労働制」が成功的に定着するためには、作業所の生産性改善が必要だ。それでも韓国最大手の自動車メーカーの工場で、勤務時間中にWi-Fiを使えないようにするという理由で労働組合が夜間勤務を拒否する「Wi-Fiサボ」が行われることを、A社長は理解できるだろうか。

来年の世界経済は今年よりも悪いだろうという。北朝鮮の非核化交渉、米中貿易戦争、米大統領選挙など、韓国経済に大きな影響を与える危機の引き金も潜んでいる。来年は、自分だけの理論で身を固めて、ベッドに合わせて人の足でも切るかのように襲い掛かる「黒板経済学者」よりは、レストランと市場、企業や工場などの現場を歩き回りながら危機克服の糸口を探す公務員、政治家が一人でも多く増えればと思う。


朴湧 parky@donga.com