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大統領一行が成都で見るべきこと

Posted December. 09, 2019 07:37,   

Updated December. 09, 2019 07:37

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3年前の2016年、報道機関との業務提携のために中国四川省の成都に何度か行ったことがある。中国も、韓国のように地方政府がタクシー免許の総量を管理する。急激な都市化のため、ほとんどの地域でタクシーの供給が需要に追いついていない。このため、現地では中国版ウーバー「滴滴打車」を主に利用した。

 

一度は車両を呼び出して10分経っても返答がなかった。タクシーをつかまえるべきかと思った時、メッセージが来た。「遅れて申し訳ない。サービス遅延のため、利用者の口座に10元を入金した」。韓国ウォンで1600ウォンほど…。それから約5分後、滴滴打車のドライバーが到着した。行き先までの料金は16元(約2700ウォン)。遅延補償金10元を受け取り、運行料金として16元を払ったので、6元でサービスを利用したことになる。金が重要なのではなかった。消費者への補償とそれに伴う満足は様々な形態でなされる。その日、滴滴打車は利用者の時間を補償した。韓国にはないサービスだった。

中国人の家で夕食をした時だった。ミネラルウォーターなどいくつかの品が必要だった。家の主人はスマートフォンのスーパーマーケット配達アプリで検索した。必要な商品を入力すれば、成都全体の大小のアプリ加盟店が提示する商品の価格が閲覧できる。利用者は、配達時間と金額を考えてスーパーマーケットを選べば良い。ほとんどの場合、家の近くの店舗を選択する。配達は、韓国のように配達アプリ業者がするのではなく、スーパーマーケットが直接してくれる。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今月、日中韓3国首脳会議に出席するために成都を訪れるという。成都は、韓国でいえば江原道(カンウォンド)のどこかといったところだろう。私達には三国志で劉備の蜀漢があったことで有名だが、中国では暗鬱な辺境のイメージが強い。にもかかわらず、成都がある四川は、中央政府の西部大開発によって、上海など沿岸都市に続き成長がはやい。都市開発の需要が多いので、中国内のエレベーター会社などが成都にだけ目を向けているという話もある。

成都が印象的だったのは、このようなハードウェアではなく中国西部の端にまで広がっているサービス革新だった。韓国はいまだに「タダ」の問題も解決できていないが、中国ではすでに3年前に遅延補償金まで支払う乗車共有サービスが一般化していた。滴滴打車はその後、ライバル会社「快的打車」と合併し、「滴滴出行」という総合モビリティー企業になった。スタートアップ企業などの動向を調査・分析する米CBインサイツが評価した滴滴出行の企業価値は560億ドル(約67兆ウォン)、全世界のユニコーン企業(企業価値100億ドル以上の非上場企業)346社のうち3位だ。滴滴出行は、米ウーバーの中国法人「ウーバーチャイナ」も吸収した。一方、韓国では自動車配車が導入される前にタクシー料金から引き上げられ、150万人の関連業者は近く廃業しなければならない状況だ。

成都のスーパーマーケットアプリは、市場原理による小商工人の保護育成の可能性をうかがわせる。韓国では、町のスーパーを保護するために大手マートの出展規制をし、複合ショッピングモールの強制休業まで行っている。中国では、大変簡単だが、政府の干渉がない新技術が小商工人の活路を開いている。

今回、文大統領一行は成都訪問でこのような革新を見ると良い。根本的には中国の「起業への意欲」が市場という枠の中でどのように噴出し、消費者と厚生と結合し、その結果がどの程度の成功を担保しているのか感じてもらいたい。政府は来年、再びサービス業活性化対策を打ち出すという。社会主義中国では政府がそのような対策を出さなくても、市場がうまくやっている。


コ・ギジョン記者 koh@donga.com