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スマート街灯を点灯、建物の壁には植物が育つ

スマート街灯を点灯、建物の壁には植物が育つ

Posted December. 06, 2019 08:00,   

Updated December. 06, 2019 08:00

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オーストリアのウィーン市庁から電車で30分ほど離れたアスペルン・ゲシュタルト。アスペルン湖を中心に新都市の建設が盛んに行われている。湖から徒歩で5分ほど離れた、ある5階建ての新築住宅商店複合建物は、1階は商店街、2〜5階は賃貸住宅で構成されていた。外観を見たときに木造建築であることを除けば、変わったことはなかなか見つけられなかった。しかし、内部に入ると、エネルギー効率を最大に生かしたスマートビルだった。この建物は、屋上に設置された太陽光パネルと、太陽光発電パネルとハイブリッドシステム(太陽光と太陽熱システムの混合)を通じて暖房エネルギーを生産する。

地下駐車場の空気加熱ポンプは、駐車場で発生する熱気と地熱をエネルギーに変えて冷房と温水、浄水に活用する。入居者のエネルギー使用は、スマートホーム制御アプリケーションを通じて記録される。このように集めた入居世帯のエネルギー使用傾向と使用量を分析して、今後建設するスマートビルに参考とする。

●放置された旧空港の空き地が「スマートシティ」に

アスペルン・ゲシュタルト・プロジェクトは、1970年代に空港が閉鎖後、長期間放置されて開発が遅れていた北東部アスペルン湖一帯の2400万平方メートルの敷地に住宅、オフィス、商店街などが建設された新都市を建設する事業だ。ウィーン市庁などが、2009年から約20年間50億ユーロ(約6兆5974億ウォン)をこのプロジェクトに投入する。現在、全体開発の3分の1程度が行われ、1万2000人がアスペルン・ゲシュタルトに居住している。ウィーン市庁は2030年まで2万5000人が入居して、2万人以上の雇用を創出すると予想している。

アスペルンは、開発初期から先端情報通信技術(ICT)を活用して交通、環境、住宅、施設の非効率性など様々な都市問題を解決して、住民が便利かつ快適な生活を享受できるスマートシティとして構想された。西欧では、大規模な新都市建設自体が珍しいし、スマート都市の推進も異例なので、一種の実験室の役割もしている。アスペルンは確固とした二つの目標を持って始めた。ウィーン都市革新研究所のニコラウス、ジューマ・マネージャーは、「構想段階から『エネルギー効率』と『生活質』をプロジェクトの目標とした」とし、「二つの目標を達成するための手段として、地下鉄に代表される公共交通機関と緑地空間を確保することにした」と語った。新都市が造成され、ウィーンの地下鉄2号線がアスペルン湖まで延長された。ジューマ・マネージャーは、「地下鉄が連結されてこそ、自動車の使用台数を減らすことができる。新都市を造成しながら、一番先に地下鉄の連結を推進した。また、アスペルン湖を中心に十分な緑地を確保した」と語った。

●ごみ焼却熱で加熱、地熱で冷房

アスペルン・ゲシュタルトの住宅団地や学校には、エネルギー効率を最大化する技術が導入された。建物を建設するときからバルコニーと窓は自然光が最も多く入るように設計された。自然光の活用を最大限に高め、照明の使用を減らすという趣旨だ。暖房にはゴミ焼却熱を活用し、冷房は地熱を利用できるシステムも備えている。一部の建物にのみこのようなシステムが適用されたのではなく、すべての住宅にこのようなシステムを適用した。

ウィーンで最も大きな学校キャンパスであるアスペルンの「カンプス・ゲシュタルト」は、「エネルギー自給自足」のキャンパスと呼ばれる。建物の屋上には、太陽熱と太陽光パネルが設置されており、パネルから吸収したエネルギーは、熱ポンプを通じて貯蔵される。このように回収したエネルギーで、温水と暖房に使用する。カンプスゲシュタルトでは、小学生200人と7つの特殊学級の生徒たちが教育を受ける。

新都市の東西方向には、アスペルン湖や公園などに繋がる緑地軸が形成されている。この緑地軸の近くには、複数の商店街が入居したが、地下鉄に乗って移動して商店街を訪れれば、歩いて緑地軸を通ることができる。アスペルン・ゲシュタルトプロジェクトの関係者は、「緑地は生活質を高める重要な要素だ」と話した。建物緑化も行っている。限られたスペースで、最大限に緑地の割合を高めるために、建物の屋上などにも緑地が造成された。カンプスゲシュタルト建物の屋上には、太陽の光を直接受ける部分を木材で作ったり、植物を植えた。建物緑化により、日差しが強烈な夏は建物の外壁の温度を2、3度下げることができる。また、住宅の外壁にツタなどの植物を植えて緑化する事業も進めている。一部の建物には、緑地用キットが外壁に設置されている。1階に設置したキットから育つ植物は、屋上まで続く構造に沿って成長しながら、建物の外壁を覆う。

●「マイカーが不便な都市」を具現

自動車利用は可能な限り減らした。賃貸住宅には、別途に駐車スペースを設けていない。駐車するためには、道路沿いや公共駐車場を利用しなければならない。分譲住宅には駐車スペースが設置されたが、1世帯当たりに0.7台に過ぎない。その代わりに、バス、地下鉄、共有自転車などを活用して、簡単に移動できるようにした。あちこちには共有自転車を利用できるスタンドが見える。別途の加入手続きがなくても、クレジットカードで決済し、簡単に利用できる。目的地に到着すれば、乗ってきた自転車をスタンドに置けばいい。アスペルンのもう一つの特徴は、複数の階層が混ざって暮らす「ソーシャルミックス」を具現したことだ。分譲住宅と賃貸住宅の住民が一緒に暮らすようにした。アスペルンの賃貸住宅は、無住宅者なら中産層以上も入居できるので、様々な階層が集まるように設計した。


ウィーン=ホン・ソクホ記者 will@donga.com