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北朝鮮船員、板門店到着まで「北への追放」知らされず

北朝鮮船員、板門店到着まで「北への追放」知らされず

Posted November. 11, 2019 07:39,   

Updated November. 11, 2019 07:39

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北朝鮮のイカ釣り漁船で乗組員16人を殺害して韓国に亡命の意思を示した北朝鮮船員2人が7日、板門店(パンムンジョム)を通じて追放されるまで、北朝鮮に送還されることを知らなかったことが10日、分かった。主犯のオ氏(22)は、板門店の軍事境界線の向こう側で待機していた北朝鮮軍兵士を見て驚き、その場に座り込んだという。北朝鮮住民を拿捕5日後に追放した政府の決定をめぐって疑惑が膨らんでいる。

●軍事境界線で目隠しを取った後、北への追放知る

政府筋よると北朝鮮船員のオ氏とキム氏(23)の2人は7日、中央合同調査本部で目隠しをされ、縛られたまま車に乗せられ、板門店の自由の家に直行した。彼らが北朝鮮に追放されることを知れば自害など突発行動をする恐れがあるため、目的地を告げず、警察特攻隊が車を護衛したという。北朝鮮船員の抵抗に備えて猿ぐつわも準備したとされる。

彼らは、板門店の自由の家の軍事境界線に到着して目隠しを取った後、北朝鮮に追放されることを知ったという。追放は、オ氏が先に軍事境界線で北朝鮮側に引き渡され、控え室で待機していたキム氏が続いて引き渡された。目隠しを取ったオ氏は境界線の向こう側に3人の北朝鮮軍兵士が立っているのを見て、その場に座り込んだという。続けて出てきたキム氏は、北朝鮮軍兵士を見て愕然とし、軍事境界線を越えたという。

追放の現場では、金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長に携帯メールで報告して議論を呼んだ板門店共同警備区域(JSA)警備大隊長のイム中佐が電話で追放について報告したという。イム中佐が誰に電話で報告したかは確認されていない。

● 「統一部、国家情報院が躊躇し、安保室が職権決定」

2人の北朝鮮船員が重大な罪を犯したとしても、亡命の意思を示したにもかかわらず政府が本人に事前に伝えずに逮捕5日後に追放した決定をめぐって、「北朝鮮の顔色をうかがったのではないか」という指摘が出ている。今回の追放は、北朝鮮当局が殺人を犯した彼らを探しているという情報を入手した政府が北朝鮮に先に提案してなされたと、当局は説明した。

北朝鮮への追放決定は、管轄機関である統一部と国家情報院が独自の意見を出さず、国家安保室が職権で決定したという。イム中佐が金次長にメールで、「追放に対して国家情報院と統一部の立場がまとまらなかった」と報告したのも、結果的に2つの機関が追放について一切意見を出さなかったためだという。ある政府筋は東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「6月に江原道(カンウォンド)の三陟(サムチョク)港に入港した北朝鮮木船事件では、2人の北朝鮮住民を3日後に北朝鮮に送還し、世論の批判を受けた」とし、「これを意識した国家情報院と統一部が北朝鮮への追放に関する意見を出すことを躊躇し、安保室が決定した」と主張した。

一方、北朝鮮船員2人が逮捕当時に着ていた服には血痕がなかったという。事件がそれより数日前に起こったため、途中で着替えたと中央合同調査本部は判断した。彼らは調査2日目の3日午前、犯罪について打ち明け、調査官が慌てたという。調査によると、オ氏は今回初めて船に乗り、キム氏は経歴6ヵ月の甲板長だった。2人とも軍に服務した経歴があった。合同調査官の間では、「事件を強制捜査しなければならない」、「死体や凶器など証拠がなく、無罪の可能性が高い」という論争があったという。


趙東住 djc@donga.com