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柔らかいが強い官能的ドリームポップの新世界、シガレッツ・アフター・セックスの新アルバム

柔らかいが強い官能的ドリームポップの新世界、シガレッツ・アフター・セックスの新アルバム

Posted October. 21, 2019 08:38,   

Updated October. 21, 2019 08:38

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米国のバンド「シガレッツ・アフター・セックス」が25日、2枚目のアルバル「Cry」を公開する。2017年に評論家と音楽ファンたちから賛辞を受けたデビューアルバム「Cigarettes After Sex」以来2年ぶりの正規アルバム。CDとLPは現在、主なレコード販売店で予約を受け付けている。

公開に先立って聞いた「Cry」はイメージ固めのアルバムだ。シガレッツ・アフター・セックスをグループではなく、最初から一つのジャンルとして釘を刺した作品。最初のアルバムと軌を一にしている。音の空間をぎっしり埋めるよりは、空白のままにしておくひどいミニマリズムと美しいメロディーの波。

シガレッツ・アフター・セックスの音楽は、一言でロマンチックノワールだ。愛の物語を愛らしいメロディーで表現しながらも、音や風景だけはひどくルーズで、暗い上に虚しい。ドリームポップ、シューゲイズ、スローコアのようなインディーズジャンルから雰囲気とサウンドの方法論を持ってきたが、ハーモニーとメロディーだけは1980年代のバラード歌謡を彷彿させるほどピュアだ。

新作は、1曲目の「Don’t Let Me Go」から、分かっていてやられる、あのサウンドとメロディーで強烈なパンチを飛ばす。「Come to me now/Don’t let me go/Stay by my side」の単純なリフレインのメロディーは、鼓膜を瞬時に貫通して胸に打って入ってくる。遠くから響くようなライドシンバルのリズム、そこに胸にひびく夢幻的なギター、ベースギター、鍵盤…。

極端に緩いテンポの「Hentai」や「Cry」はもちろん、比較的アップテンポの「Heavenly」や「Touch」もスローモーションのように迫ってくる。グレッグ・ゴンザレスのもろくて甘いハスキーな音色も変わっていない。

昼間に聞くには危ないアルバムだ。不眠症に処方すべき曲だ。音の波動だけで空気中に夜のウイルスを広めてしまうからだ。柔らかいがきつく、愛らしいものの苦しい。


イム・ヒユン記者 imi@donga.com