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リチャード・カーティスの「アバウト・タイム」

リチャード・カーティスの「アバウト・タイム」

Posted August. 24, 2019 09:17,   

Updated August. 24, 2019 09:17

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いつかはタイムトラベルについて映画を作りたかった。アイデアが浮かぶたびに、自画自賛しながら舞い上がった。数年間そうするうちに、長編一本を書くほどの分量が集まり、指の音を鳴らしながら本格的に書こうとする時、よりによってその時、この映画「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」に出会った。

英南西部の端の海岸沿いに住むティム・レイクは、21歳になった日、父からものすごい秘密を聞かされる。一族の男たちだけに遺伝されるタイムトラベルの能力。未来には行けないが、過去には移動できるという、押入れの中で拳を握り締めて、両目を閉じれば希望する場所に行くという信じられない話が事実であることを確認したティムは、その能力で簡単にお金を稼ごうとする。父は静かに言い聞かせる。祖父は金持ちだったが、友達もいない不幸な人であり、叔父も結局人生を無駄にしてしまったと。だから熟慮して使うように頼んだのだ。ティムは父の忠告どおりに、お金と出世のためには使わない。また、過去に戻って状況を変更すると、その余波で現在が変わることを経験した後は、さらに慎重になる。一目惚れした女性と恋に落ちて結婚し、いつしか二子の父親になったティムに、父は遺言で、自分が悟った幸せの秘訣を教える。普通の一日を生きること。そして、その日を再び生きて見ること。緊張と心配のために、一日目は見られなかった世界の美しさを感じながら。

最も印象的なシーンは、父の遺言通り、昨日を繰り返して生きて見るティムは、大変だったと思っていたことを再び経験しながら、今度は毎瞬間を余裕をもって微笑みながら受け入れることだ。彼の笑顔は、彼が会う皆を笑顔にする。タイムトラベル能力の恩恵者として、ティムが得た最大の収穫は、幸せな生活にはタイムトラベルが必要ないということだ。過去を変えるよりは、今与えられた状況に自分を任せながら、感謝の気持ちで人生を楽しむことが幸せであることを悟ったティムは、これ以上タイムトラベルをしない。まるでタイムトラベルに来たかのように、毎瞬間を大切に満喫するだけだ。

かつて書いておいたタイムトラベルのメモは、今どこにあるか分からない。そのシナリオはあきらめたから。おばあちゃんになっても、この映画の中で扱ったテーマよりも優れた考えは、私の頭の中から出てこないことが分かる。それでも残念だ。アバウトタイムを見たのは、私の人生の幸運だったので。疲れて大変なときは、考えてみる。もし私が今日を再び生きることになれば?目の前に迫った出来事に埋もれて、今大事なことを逃しているのではないか?

私に与えられた宿題のために苦しんでも、今日は二度目に生きる今日だ。繰り返しだから、緊張したり、心配する必要はない。だから今日は、世間の美しさを楽しむ番だ。このように考えることにした。