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月で「核融合エネルギーの原料」を採取する

月で「核融合エネルギーの原料」を採取する

Posted July. 19, 2019 10:26,   

Updated July. 19, 2019 10:26

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20日は人類が初めて月に足を踏み入れてから50周年になる日だ。米探査船アポロ11号は1969年7月16日に打ち上げられ、三日間の飛行の末、月軌道に到着し、20日に宇宙飛行士のニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面に着陸した。

50年が過ぎた今年、世界各国が再び月に注目している。中国が今年初め、人類初の月裏に無人探査機を送ったのに続いて、4月には、イスラエル企業スペースILが民間企業としては初めて無人月面着陸を試みた。米航空宇宙局(NASA)は、2024年に再び月に人を送る計画を立てている。韓国は最初の無人月軌道船を、2021年以降に打ち上げる計画だ。

月探査は、科学界にもチャンスといえる。着陸船や軌道船に科学機器を載せて、これまで得られなかったデータを得ることができる。NASAは、民間企業が開発した月面着陸9基を月に送る新しい「商業月搭載体サービス(CLPS)」事業を来年から開始する。有人月探査のミッションに先立って、より詳細に月面や環境を研究するのが目標だ。現在、最初の3つの着陸船の選定が終わっており、米宇宙企業の着陸船がそれぞれ選ばれた。韓国もこの事業に参加し、今後搭載体の開発に参加する。2023〜2024年に打ち上げ予定の着陸船に載せる搭載体を、韓国天文研究院(天文研)とNASAが共同開発することに、5月合意した。天文研はこのため、11日から韓国国内科学者を対象に、搭載体を巡る提案意向書を公募している。

月のユニークな環境の一つとして、科学者たちは月面をいっぱい覆っている細かい土である「月表土」を挙げる。月は大気がないので、微細な隕石や太陽放射粒子が表面まで達して、絶えず表面を砕く。「宇宙風化」と呼ばれるこの過程で、月表土が作られると推定される。しかし、月の特定地域によって色と大きさ、たまった形態などが異なる理由はほとんど明らかにされなかった。

チェ・ヨンジュン天文研宇宙科学本部長と慶熙(キョンヒ)大学のキム・ソンス宇宙科学科教授、シム・チェギョン研究教授チームは、このような月表土の特性を集中的に研究する国内の代表的研究チームだ。表土の明るさや色が地域別に異なる理由を、宇宙風化や太陽風の入射角度、土成分の変化等を通じて明らかにしてきた。

研究チームは最近、韓国の月軌道船に搭載する科学機器である偏光カメラ(ポルキャム)を開発している。偏光は、光の波長が特定の方向に揺れる性質だ。偏光される程度に応じた最大値を知ることになれば、月表土粒子の大きさを推定できる。研究チームはこれを基に、月表土の宇宙風化の状態を研究する予定だ。シム・チェギョン教授は、「月探査船に偏光カメラを本格的に搭載して偏光マップを作成するのは初めてだ」とし、「韓国が主導できる月の科学研究だ」と説明した。

月の資源も活発に研究されているテーマだ。キム・ギョンジャ韓国地質資源研究院地質研究センター責任研究員は最近、月で将来のエネルギー資源に挙げられる「ヘリウム-3」が豊富な地域を見つけた。ヘリウム-3は、2030年代以降商用化が期待される核融合エネルギーの原料であり、地球には埋蔵量が極めて少なく、宇宙から採取する資源1位に選ばれてきた。

キム責任研究員チームは、太陽で作られたヘリウム-3が月に飛んでくると、酸化チタンと鉄などの特定鉱物によく捕獲されることに注目した。これらの鉱物の分布を調べれば、ヘリウム-3の含有量を間接的に推定できる。キム責任研究員チームは、インドと米探査船の光学測定データを使ってこれらの鉱物の分布を詳細に測定し、これをもとに正確なヘリウム-3含有量マップを手にした。

研究チームは、ヘリウム-3の含有量マップで、ヘリウム-3が豊富な月地域を6カ所見つけた。その中で、特にヘリウム含有量が高く、地形が平らな「グリマルディ」と「リツォーリ」クレーターの二か所を未来の探査船が訪問する候補地として提案した。キム責任研究員は、「韓国の月探査船に載って着陸候補地を撮影する高性能カメラで、この地域を詳細に調査するよう、科学界に要請する計画だ」と明らかにした。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com