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日本人になろうとした朝鮮の女性の悲劇、演劇「その時、ピョン・ホンレ」

日本人になろうとした朝鮮の女性の悲劇、演劇「その時、ピョン・ホンレ」

Posted July. 18, 2019 09:40,   

Updated July. 18, 2019 09:40

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「探偵小説のような雇女(メイド)絞殺事件、他人の家の雇女を真夜中に殺害…隣の部屋で絞殺され、顔やその他の部分に殴られた跡もあったという」(1931年8月4日付の東亜(トンア)日報)

日本植民地時代に韓半島を衝撃に陥れた殺人事件が、特殊音響や影と出会って、舞台で魔法のように再現される。演劇「その時、ピョン・ホンレ」は、人間らしく生きるために日本人になろうとしたとある韓国人の欲望を描いた作品。新派に頼らず、当代韓国人の凄然な自画像を連想させる。昨年の初公演当時、韓国演劇評論家協会が選定した「今年の演劇ベスト3」に選ばれており、6月にスペインのマドリッド招待公演を終えた後、再び幕を上げた。

釜山(プサン)のとある日本人家庭でメイドとして働くピョン・ホンレは、韓国人のアイデンティティーを捨てて日本人の仮面をかぶったまま生きる人物。いつか自分も同等の人間としてもてなされるだろうという期待と違って、日本人たちは彼女を利用するばかりで、痴情事件に巻き込まれて殺される。他殺状況と痕跡がはっきりしているのに、日本人容疑者は無罪判決を受け、真実もその場に止まった。

重いテーマと違って、劇を展開する方法は遊びに近いほど溌剌としている。俳優の喜劇的身振りに、他の俳優が無声映画のアフレコのように滑稽な音をかぶせる。ビニール、白菜、木、靴など、あらゆる小物を活用した音響に誇張された身振りまでが絶妙に合致したことで、観客の笑いが絶えない。奇抜な影、照明演出までが加わって、80分間のランニングタイム中に見て聞く味をいっぱい満たした。展開方式は愉快で軽いが、劇のメッセージ自体を損なわないことが魅力的だ。プロット展開に無駄がないからだ。たまに役者たちが「遊びのために」不要に客席に向かったり、誇張された笑いと拍手を誘導する。このようなぜい肉を少し減らせば、評壇を越えて観客にも最高の「レトロ劇」になるに値する。21日まで、ソウル大学路(テハクロ)にあるアルコ芸術劇場大劇場。全席3万ウォン。15歳以上。お問い合わせは1600-2238まで。


キム・ギユン記者 pep@donga.com