Go to contents

死をもって完成した絵画

Posted July. 18, 2019 09:48,   

Updated July. 18, 2019 09:58

한국어

時間ほど公平なものがあるだろうか。一日24時間は皆に同じく与えられる。ただ、その時間をどのように使うかの違いがあるだけだ。日本出身の概念美術家・河原温は、自分の一日を絵に記録した。ところが、彼の絵には、いかなるイメージもなく日付だけが書かれている。これがなぜ芸術なのかと思われがちだが、彼はこの「日付絵画」で世界的な名声を得た。

1965年にニューヨークに定着した彼は、1966年1月4日「今日」の連作を開始した。キャンバス上に制作当日の日付を書いたのがすべてだが、見た目と違って、多くの労力と時間を要する作業だった。まず四重に均等に地塗りをした後、白い絵の具で七回まで日付を塗った。8つの規格化されたキャンバスサイズ、地は単色、一日最大で3点など、作品は作家が定めたルールに基づいて制作され、当日夜12時まで完成できなかった絵は廃棄された。それぞれの絵の裏面と収納ボックスには、その日の新聞記事をスクラップして付けた。だから、彼が記録した日は平凡な一日かも知れないが、ベトナム戦争の終結や9・11テロ、あるいは人類歴史の大きな出来事が起きた日でもあった。

旅行マニアだった彼は、便宜上横25センチほどの小さな絵をたくさん描いたが、1969年には例外的に横2メートルを超える大型絵画3点を完成した。人類が初めて月面に着陸した日を記念した作品だ。すべての美術的表現や個人の感情を排除し、ひたすらルールに基づいて作業してきた彼にも、この歴史的な時期は意味が格別だったのだ。

作家は、自分の時間は誠実に記録したが、自分が記録されることは非常に気にした。履歴公開だけでなく、インタビューや写真も許さなかった。さらに年齢も、自分が生きてきた日数で計算して表示した。生まれて2万9771日間を生きた彼は、3000点近い「今日」の連作を残した後、2014年7月に亡くなった。約50年間続いた「今日」の絵は、彼の死によって初めて完成した。

美術評論家