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惹かれる本

Posted June. 24, 2019 07:25,   

Updated June. 24, 2019 07:25

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「本を読んでこそ、深みのある考えを持つようになるということは考えないことにしましょう。読書というのはこのような効果がある、とかいう問題ではないですね。それよりは子供の頃、『やっぱりこれ』と言えるほど、自分にとって非常に重要な一冊に出会うことがより大事だと思います」(宮崎駿著「本への扉」)

この文を読んだとき、くすっと笑いがこぼれた。私もそう思ってきたが、味方に会った気分だった。本に代表される知識、あるいは思考力と他人への共感能力や思いやりは別のものである。誰もが知っていながら、実際はよく見落としがちだ。昨年の文化界関係者たちのスキャンダルを考えると、なおさらそうだ。彼らはどれほど多くの本を読んだのだろうか。

逆に私の友人の一人は、年に1冊の本も読まないのに、彼の心遣いを見ると、一体この人はどれほど深い心を持っているのだろうという気がする。洗練された文化的知識とは全く関係のない、人を感動させる暖かさが彼にはある。

「本の中に道がある」という言葉も、読書の効果を挙げるときに登場するが、その道が自分に合うかどうかは、歩いて見なければ分からない。実際に歩いてみれば、著者が狙っていた言葉が、そもそも私は理解していたものと全く異なることに気づくこともあった。著者の一生が、その思想と違がっていてがっかりしたときも多かった。素晴らしい本を記した人が間違った行動をした時、その本の内容も一部のみ受け入れたほうがいいではないか。良書を読んでも読まなくても、人生は自分の物差しで判断しなければならない。

だから、私も子供に本を読むことを勧めるなら、子供の状況や性格に合う、「惹かれる本」に会うように言うだろう。立派だからではなく、惹かれたからこそ貴重な、自分をより明確にしてくれる一冊である。私にはそのような本があった。その本が、言語の美しさを教えてくれ、歌詞を大切に思う歌手になるように助けてくれた。子供は必ずしも立派な人にならなければならないことなどない。子供は自分らしく成長すればいい。