認知症と診断された後、運転可否の評価を受けたドライバーのうち、免許が取り消される割合は5%にも満たないことが分かった。韓国道路交通公団が国会に提出した資料によると、昨年、運転適性判定委員会の評価を受けた認知症ドライバー1235人のうち、不合格となったのは58人(4.7%)にすぎなかった。残りの1177人は合格または判定猶予を受け、免許を維持したり、または1年後の再判定まで運転が可能で、交通事故のリスクを高めている。
現行法では、認知症で長期療養等級を受けるか、6カ月以上入院治療を受けた場合、自動的に道路交通公団へ通知され、委員会の評価を受けることになる。年間約1万8000人が評価対象となるが、その大半は自ら免許を返納する一方、毎年1000人以上が委員会評価を経て免許を維持している。認知症患者は認知力や判断力だけでなく感覚能力も低下しており、健常な高齢運転者より事故を起こす可能性が高い。それにもかかわらず、不合格率が低い現状は不安を招かざるを得ない。
また、認知症と診断されてから免許取り消しまで最長10カ月がかかる点も事故リスクを高める。認知症であっても短期治療だけ受けたり、長期療養の等級を申請しなかったりした場合は、本人が申告しない限り交通公団は把握できない。 実際、昨年12月、ソウル陽川区木洞(ヤンチョング・モクドン)のケビ市場で13人の死傷者を出した70代のドライバーも、2023年に認知症と診断され3カ月間治療薬を服用していたが、その後追加処方を受けず、免許を維持していたことが判明した。
超高齢社会の韓国では、昨年、認知症人口が100万人を超え、2050年には300万人を超えると見込まれている。認知症患者の運転適性判定の実効性を高め、合格判定を受けた場合でも、先進国の事例を参考に速度制限のある道路でのみ走行、あるいは1日平均の走行距離を制限する「条件付き免許制」の導入を検討する価値がある。また、75歳以上の運転者の免許更新期間も現行の3年から短縮し、高齢者の移動権を確保するため、代替交通手段の整備も必要だ。
。
アクセスランキング