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金与正は金正恩の後継者になれるか

Posted April. 17, 2020 08:02,   

Updated April. 17, 2020 08:02

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東亜(トンア)日報付設のファジョン平和財団は、北朝鮮労働党の第7回党大会の開催を控えた2016年4月、統一研究院の4大安保シンクタンクの研究員102人を対象に専門家調査を実施した。複数質問のうち、「党大会以後、北朝鮮のナンバー2として浮上する人物は誰なのか」という質問に、回答者の23%が当時労働党宣伝扇動部第1副部長だった金与正(キム・ヨジョン)を、21.2%が国家安全保衛部長だった金元弘(キム・ウォンホン)を挙げた。

1面の記事の解説と展望はこうだった。「金正恩(キム・ジョンウン)が、『白頭(ペクドゥ)血統』である妹の金与正と執権前から自分の体制の強固化を助けながら、いわば「粛清権力」を行使してきた金元弘を前面に出して、親政体制の構築に乗り出すだろうという観測だ。しかし、現在まで、金正恩のナンバー2がすべて粛清されたことを勘案すれば、「粛清する者」として見を下げてきた金元弘が今後、最大の粛清対象になる可能性を排除できない」

この予測は当たった。金正恩の特使として2018年3月に韓国を訪問し、外交舞台に顔を表わした金与正は、11日に開かれた労働党中央委員会政治局会議で政治局候補委員に再びつき、ナンバー2のポストを固めている。金元弘は、2017年初めに虚偽報告などの容疑で国家保衛相から退いた後、人民軍総政治局1副局長に返り咲いたが、再度粛清されたことが分かった。すでに処刑されたという報道もある。

イ・スンヨル国会立法調査処研究委員は、先月31日に発表された報告書で、「今年2月に解任された李萬建(リ・マンゴン)党組織指導部長と朴泰德(パク・テドク)党副委員長(農業部)は、崔龍海(チェ・リョンへ)国務委員会第1副委員長の側近に分類できる」とし、「崔龍海の政治的影響力を弱化させる人事だ」と説明した。崔龍海は、金与正にナンバー2の座を奪われて経済危機のスケープゴートになる可能性が高いという見通しも付け加えた。

金元弘も崔龍海も抜いた金与正が、北朝鮮のナンバー2として浮上しているのなら、論理的にこのような質問が後に続く。金元弘のように、金与正もいつかは兄から見切りをつけられて粛清されるのだろうか?それとも、いわゆる白頭血統であることを根拠に、金正恩は有事の際に権力を引き継ぐ北朝鮮の第4代世襲後継者として君臨できるだろうか?

北朝鮮の金氏独裁の未来を展望するよりはむしろ、コインを投げることの方がマシだ。しかし、金正日(キム・ジョンイル)の後継を予測するときに使った「社会主義独裁国家の後継者決定理論」の助けを借りて、学術的な推測(academic guessing)はできる。比較社会主義政治学者のレスリー・ホームズ博士の「3Ps+X」の理論が代表的である。ソ連や中国などの社会主義独裁国家で最高指導者が権力を失った場合(X)、権力基盤(Power base)と人格的資質(Personal qualification)、政策能力(Policy making ability)を持つ人物が後継者として権力を手にするという。

とりあえず、金与正には確実な権力基盤がある。まさに兄の金正恩である。父の死後、兄を至近距離で補佐する「ドアノブ権力」を行使する過程で、従う側近グループも形成されたのだろう。政策能力の検証も行われているとも言える。彼女は2018年以降、米朝、南北対話の過程に介入してきたものと見られる。最近では、新型コロナウイルス感染症対応において何らかの役割を果たしているのかもしれない。ここまではやり次第である。

問題は、人格的資質である。最高指導者の人格的資質は、エリートと大衆から認められることが欠かせない、すなわち相手がいる領域だ。女性の権利は、ただ法条項であるだけで、儒教的遺産に加えて、金日成(キム・イルソン)、金正日独裁のために意図的に構築された家父長的な北朝鮮の政治文化が、「女性首領」を受け入れるだろうか?すでに女性大統領を排出た韓国の両性平等のレベルに比べれば、暫定的な答えは「容易ではない」だろう。


申錫昊 kyle@donga.com