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「医療スタッフは交通費無料」 英雄のように迎える欧州

「医療スタッフは交通費無料」 英雄のように迎える欧州

Posted March. 25, 2020 08:02,   

Updated March. 25, 2020 08:02

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「彼は大学教授というより『ロックスター』のようだ」

フランスのメディア「フィガロ」は最近、フランスの感染症専門家のディディエ・ラウール教授をこのように説明した。マルセイユにある地中海疾病研究センター(IHU)所長のラウール氏は17日、新型コロナウイルスに感染した患者30人余りにマラリアの治療薬であるクロロキンを臨床テストした結果をインターネットに公開した。1日500ミリグラムを投じたところ7割の患者でウイルスが消えた。長い髪にひげを伸ばした容貌や治療法が論議を呼び、ラウル教授は一躍話題の人になった。

 

ラウール氏だけではない。欧州各国で「コロナ戦線」で死闘を繰り広げる医療スタッフに対する大衆の支持と応援が大きくなっている。今年初めに引退した医師のジャン=ジャック・ラジャフィンドラナジ氏は、集団感染が発生したフランスのオアーズ地域に復帰し、新型コロナウイルスに感染して22日に死亡した。医療スタッフの初の犠牲に全国が悲しみに包まれた。

イタリアでは、SNSに、長くマスクをつけて顔にあざができた医療スタッフの写真が流れている。ローマとミラノの市内では、建物のバルコニーで医療スタッフに歌や拍手を送るフラッシュモブが毎日繰り広げられている。スペインとフランスの状況も似ている。

このようなムードの中、引退した医師や看護師が次々に復帰していると、AFP通信は伝えた。スペインでは引退した医師と看護師1万4千人が、英国では引退した医師500人など医療スタッフ4500人が現場に戻った。他の大陸の医療スタッフも欧州を支援している。キューバの医療陣52人が22日、イタリア北部のロンバルディア州の空港に到着すると、イタリア市民はスーパーヒーロー映画「アベンジャーズ」にたとえて「キュベンジャーズ」と呼んで応援した。

医療スタッフに対する社会的支援も拡大している。フランス国鉄(SNCF)は23日、医療関係者に列車の運賃全額を無料にした。世界的な石油企業トタルは、フランス全国の病院職員に5千万ユーロ(約680億ウォン)相当の自動車燃料バウチャーを提供することを決めた。BMW、フォルクスワーゲンなどのドイツの自動車メーカーも、人工呼吸器やマスクの生産を通じて医療界を支援する。

しかし、医療スタッフに対する賛辞は逆説的に新型コロナウイルスの感染拡大で医療システムが崩壊したことを証明すると懸念する声もある。医療スタッフが英雄的に活躍するほかないほど医療システムが崩壊したということだ。スペイン・マドリードでは遺体を安置する霊安室が不足し、アイスリンクを臨時霊安室に活用したり、病室がなくて自宅で一人で死亡する高齢者が増えていると、スペイン紙エル・パイスは伝えた。

フランス東部のグラン・テスト地域は病床不足で、軍隊を投入して臨時病床を設置している。イタリアでは新型コロナウイルスの感染が確認された医師と看護師が3千人にのぼり、医療スタッフの健康問題も深刻だと、イタリアのアンサ通信などは伝えた。23日基準で欧州内の感染者は、イタリア6万3927人、スペイン3万3089人、ドイツ2万9056人、フランス2万104人にのぼった。


金潤鍾 zozo@donga.com