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114年ぶりの再会

Posted January. 16, 2020 08:21,   

Updated January. 16, 2020 08:21

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失恋の傷は時間が癒してくれることもあるが、一生残ることもある。ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクは、3度も恋愛に失敗後、生涯を独身で過ごした。この絵は、自分自身と彼の最後の愛であり、婚約者だったトゥーラ・ラーセンを描いた肖像画である。愛する恋人にしてはあまりにも落ち込んでいるように見えるうえ、絵も縦に分割されている。一体彼らに何が起こったのだろうか。

ムンクが豊富な上流階級出身のトゥーラに初めて会ったのは1898年。当時、彼は35歳、トゥーラは彼より四歳年上だった。最初はムンクのほうが彼女に夢中だったが、二人の関係はすぐに逆転した。女の方から縋りつくと、男の心が先に冷めてしまった。翌年、二人は婚約までしたが、ムンクは絵のために一人だけの時間が必要だと主張して、彼女を遠ざけた。実際、ムンクは孤独と不安を作業の原動力だと考えた。そして会うことも、別れることもない恋人関係を数年間持続した。1902年夏、耐えかねたトゥーラは結婚を要求して自殺で脅かした。驚いて走ってきたムンクが彼女を慰めたが、しばらくしてから、二人の寝室で銃弾が発射された。泥酔状態だったムンクが、誤って引き金を引いたのだった。この事故でムンクは左手の中指を完全に使えなくなり、トゥーラは事故から3週間後、九歳年下の新しい恋人に会ってパリに去った。実際に彼女が去ると、ムンクは裏切りと激しい女性嫌悪の感情まで持つようになった。以来、彼はトゥーラをファム・ファタールの否定的な姿で絵に登場させたこともあった。

この肖像画も、トゥーラと決別した後に描いたもので、青白くて憂鬱なトゥーラと、赤く上気した顔で彼女を眺めるムンク、彼のもう一つの自我のように見える男が登場する。ムンクは、彼女と完全に別れた後、この絵も二つ破ってしまった。その後、この絵は、それぞれの肖像画に分類されてきた。2019年、英国博物館はムンク特別展を開いた際、2つの絵を並べて展示した。114年ぶりの再会だった。墓の中の画家が好むかどうかは分からないが、彼らの愛の「ハッピーエンド」は、100年後の観客の願いである。