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中東全面戦争の危機、軍派遣を慎重に検討しつつも同盟貢献の意思を明確に

中東全面戦争の危機、軍派遣を慎重に検討しつつも同盟貢献の意思を明確に

Posted January. 09, 2020 07:52,   

Updated January. 09, 2020 07:52

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イランが8日、イラクの米軍基地2ヵ所にミサイルを10発以上発射した。米国がイラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のカセム・ソレイマニ司令官を殺害したことで、「血の報復」作戦に踏み切ったのだ。具体的な被害状況は明らかになっていないが、米国が本格的に反撃に出れば、中東は全面戦争に突き進みかねない。トランプ米大統領はツイッターに、「万事順調だ。我々には、世界最強で優れた装備の軍事力がある」と投稿した。

イランの報復攻撃は予想より早かった。内部の反米世論を考慮し、抗戦の意思を明確にする必要があったのだろう。しかし、即時全面戦争に突き進むとは見えない。イランが迅速な報復に出たものの「比例攻撃」を掲げている。軍事強国との正面対決は避け、散発的報復に出る可能性が高い。米国も、トランプ氏が「不つり合いな手段で反撃」という甚大な報復を警告したが、全面戦争の開始には議会の承認や国際連帯などその過程は容易ではない。特に、トランプ氏の不介入主義指向から考えて、声は大きいかもしれないが行動は慎重だろう。

韓国は米国の同盟として「対岸の火事」といように振る舞うこともできず、だからといって容易く危険な火の中に飛び込むこともできない状況だ。イランは、米本土の攻撃まで警告し、米国の同盟国に対し、「各国の領土が米国による攻撃に使われた場合、イランの反撃の標的になる」と警告した。今後、イランが中東の石油施設を攻撃したり、ホルムズ海峡を封じ込める場合、中東産原油の輸入の割合が7割にのぼる韓国経済は大きな困難にぶつかるほかない。

政府はこれまで、韓国の船舶保護と海洋の安全に貢献するために段階的なホルムズ海峡への軍派遣を検討してきた。アデン湾海域に派遣された清海(チョンヘ)部隊をホルムズ海峡の有志連合の活動に投入する水準だったが、今後派遣の性格が大きく変わり、国会の同意も容易ではないだろう。それでも検討方向を変えることはできない。派遣の規模や時期、方法などを慎重に検討するものの、同盟に貢献するという明白な意思を示す必要がある。

ホルムズ海峡への軍派遣は、在韓米軍駐留経費負担交渉などの懸案をめぐる米国の不満を静める機会になり得る。特に緊張局面に陥った北朝鮮核交渉と関連して米国の柔軟な態度を引き出したい文在寅(ムン・ジェイン)政府としては、同盟との派遣協議を迷う理由はない。同盟の要請に後ずさりして信頼を失う愚かな外交では、国民の生命も国益も守ることはできない。


イ・チョルヒ記者 klimt@donga.com