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自画自賛と北への求愛ではなく、冷静な現実認識で国政基調を変えるべきだ

自画自賛と北への求愛ではなく、冷静な現実認識で国政基調を変えるべきだ

Posted January. 08, 2020 07:57,   

Updated January. 08, 2020 07:57

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日、「新年の辞」で、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の答礼訪問の条件が一日も早く整うよう南北が共に努力しよう」と述べた。文大統領はさらに、「韓半島の平和に向けて国際的な解決が必要だが、南北間協力でできることもある」とし、開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光の再開の必要性を強調した。新年の辞では、「平和」が17回、「南北」が14回と南北関係に関連するキーワードが最も多く登場した。文大統領の3回の「新年の辞」すべてで南北関係にかなりの比重が置かれた。

文大統領は金正恩氏の答礼訪問を繰り返し求めたが、果たして今が金正恩氏の答礼訪問の実現に集中しなければならない時なのか疑問だ。金正恩氏は、2018年9月の平壌(ピョンヤン)南北首脳会談で年内の答礼訪問を約束したが、昨年2月のハノイでの米朝会談決裂後、答礼訪問は失敗に終わった。金正恩氏は昨年末、労働党全員会議を4日間開き、攻勢的措置の準備と自力更正を促し、引き締めを図った。韓国を排除したまま対米圧力強めていく典型的な瀬戸際戦術だ。このような北朝鮮の動きに対する冷徹な診断がなければ、「安保錯視」につながる恐れがある。

一方、文大統領の新年の辞で非核化の言及はなかった。非核化を前提にして南北関係の青写真を出さなければならないのに、本末転倒だ。非核化の努力なく独自の南北協力事業だけ強調する場合、米国が主導する制裁協力戦線に亀裂を生む恐れがある。

文大統領の経済現実認識も懸念される点が多い。文大統領は昨年の経済成果について肯定的に評価したが、そのような評価に共感する国民と経済専門家がどれだけいるだろうか。成長率は2%台に辛うじて入るか1%台にとどまると推定されている。1980年のオイルショック、1998年の通貨危機、2009年の世界金融危機を除いて過去最悪だ。輸出は前年に比べ10.3%減り、10年ぶりの最大減少幅となった。文大統領は、「11年連続貿易黒字を記録した」と述べたが、昨年の貿易黒字(392億ドル)は前年度に比べて44%も減少した典型的な「不況型」黒字だった。民間企業が作る「良い雇用」は減っているにもかかわらず、税金で作った臨時雇用を雇用回復傾向だと主張するのは、経済指標の誤読だ。

 

100日も残っていない選挙を意識して浮き彫りにしたい部分だけ強調しては、今年も沈滞局面から抜け出すことは難しいだろう。企業現場では、規制改革と革新成長を肌で感じさせてほしいと注文している。警告ランプが灯った経済現実を直視し、必要なら経済コントロールタワーの大胆な交代もやむを得ない。現状に安住する場合、国民は変化を体感できないだろう。