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巨匠のアドバイス

Posted December. 12, 2019 09:09,   

Updated December. 12, 2019 09:09

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影響力のある人の言葉は、誰かの人生を変えることもある。19世紀の米画家チャイルド・ハッサムは、フランスの有名画家の一言で、都市景観を描く画家となった。この絵は、彼が初めて描いた都市風景画だ。一体、フランス画家が何を言ったことで、彼はこのような冬の風景画を描いたのだろうか?

絵の中には、洒落た服を着た人が雪が積もった公園を歩いている。粋な服を着た母親と子供たちはしばらく立ち止まって、鳥の群れを見ている。高い建物や車で満たされたにぎやかな道路の姿は、夕日に染まった静かな公園と対照を成す。絵は、彼の仕事部屋近くのボストンコモンの風景を描写している。1634年に作られたボストンコモンは、米国で最も古い公園である。元は牛を放牧していた野原だったが、この絵が描かれていた頃、市民公園に改装した。同じ時期、静かな住宅街だった公園の隣の町もビルが入った商業地区に変貌した。建物はもとより、町中の電車や街路灯、フェンスもすべて新しく整備された。画家は開発が行われているボストン中心部の様子を通じて、変貌する米国都市の活気に満ちた姿をキャンバスに盛り込もうとした。

当時26歳だったハッサムは、イラストレーターから画家に転向したばかりの新人だった。彼は1880年代半ばから都市の風景を描き始めたが、これは全くフランスの画家ジャンレオン・ジェロームのアドバイスのためだった。「周りを見回して、あなたが見ているものを描きなさい。ブルックリンの橋は、ローマのコロッセウムより価値があり、現代の米国が古代の装飾品より立派だという確信を持ちなさい」。ジェローム自身は伝統を固守した新古典主義画家だったが、フランスの美術を追従していた米国の画家たちには、自分だけのテーマを探すべきだと主張した。

巨匠の心からのアドバイスは、ハッサムの心の奥に深く刻まれた。以来、彼はフランス留学を通じて印象派を学んだが、追従者にはならなかった。印象派画風から影響は受けたものの、彼は生涯、自分が属している社会の風景を描く米国の画家だというアイデンティティを忘れなかった。