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金剛山観光中止が誰のせいだと思って「南側施設撤去」と脅迫するのか

金剛山観光中止が誰のせいだと思って「南側施設撤去」と脅迫するのか

Posted October. 24, 2019 08:27,   

Updated October. 24, 2019 08:27

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、「金剛山観光を南側と共に進めた先任者の依存政策は非常に誤っていた」とし、金剛山の南側施設の撤去を指示したと、労働新聞が23日付で報じた。正恩氏は「見るだけでも気分が悪くなるみずぼらしい施設」とまで語った。1月1日の新年の辞での「開城(ケソン)・金剛山観光の無条件の再開」の約束を1年もたたずに反故にし、韓国を脅迫したのだ。

特に、正恩氏が「先任者の対南依存政策」を批判したのは異例だ。金氏一家の遺訓統治体制である北朝鮮で、父親の金正日(キム・ジョンイル)総書記の主要政策を問題視したこと自体が前例のないことだからだ。米朝協議が膠着状態に陥り、制裁解除が遠ざかったことを受け、その責任を米国と韓国に押し付けるための計算された発言とみられる。韓国が要求を聞き入れなければ、先代の政策も覆すことができるほど自分が強硬だと強調する瀬戸際脅迫戦術の一環でもある。

正恩氏の発言は呆れた居直りだ。1998年、現代(ヒョンデ)グループの故鄭周永(チョン・ジュヨン)名誉会長の訪朝で実現した金剛山観光は、2008年7月に観光客のパク・ワンジャさん殺害事件で中止になった。10年3月の北朝鮮による哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没挑発で5・24対北制裁が稼動し、金剛山観光はさらに難しくなった。北朝鮮側の謝罪や再発防止の約束がないために金剛山観光が再開できない状況にもかかわらず、その責任を韓国に転嫁する厚顔無恥な詭弁だ。

金剛山観光の再開を妨げるさらなる原因は、北朝鮮の非核化拒否だ。北朝鮮が誠意ある非核化履行をしない以上、国連の制裁は解除されず、そのような状況では金剛山観光は再開できない。国家情報院も最近、国会情報委に金剛山観光を再開する場合、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議案の「バルクキャッシュ(bulk cash・大量の現金)」問題と抵触する可能性があると報告した。

正恩氏の指示は、昨年文在寅(ムン・ジェイン)大統領と合意した4・27板門店(パンムンジョム)宣言、9・19平壌(ピョンヤン)宣言の精神に逆行する。文大統領が22日の施政演説で、韓半島平和経済に北朝鮮が応えるよう呼びかけたことに対する否定的な返答でもある。大統領府は23日、正恩氏が韓国側と施設撤去を協議するよう指示したことをめぐって、交渉の余地を残した肯定的な信号だと反応し、後に撤回はしたが、こうした低姿勢はかえって北朝鮮に誤った行動をさせるだけだ。共同事業が中止したからといって、相手が設置した施設を思いどおりに撤去するという勝手なやり方で、信頼に基づいた協力事業が可能だろうか。北朝鮮が韓国側施設を傷つける場合、責任を厳正に問うと強く警告し、北朝鮮が誠意のある非核化の態度を見せること以外に金剛山観光の再開の方法がないというメッセージを明確に伝えなければならない。北朝鮮側の脅しと妄言を容認してきた低姿勢対応がかえって北朝鮮を傲慢にさせた面が大きい。


チョン・ヨンウク記者 jyw11@donga.com