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北朝鮮の非核化を差し置いて金正恩氏の答礼訪問にしがみつく「本末顛倒」

北朝鮮の非核化を差し置いて金正恩氏の答礼訪問にしがみつく「本末顛倒」

Posted September. 26, 2019 08:40,   

Updated September. 26, 2019 08:40

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徐薫(ソ・フン)国家情報院長は24日、国会情報委員会で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の11月の釜山(プサン)韓-アセアン特別首脳会議に出席する可能性について、「非核化協議の進行によって釜山に来るのではないか」と述べた。米朝非核化協議の進行という条件をつけたが、正恩氏の答礼訪問の可能性を開いておいたのだ。国家情報院が警護問題などで敏感な正恩氏の答礼訪問を取り上げたのは、単なる原則的な立場表明だとやり過ごす事案ではない。

正恩氏の答礼訪問は、南北関係の進展のためにはいつか一度は越えなければならないヤマだ。南北首脳が昨年9月の平壌(ピョンヤン)宣言で合意した事項でもあるが、この19年間、韓国大統領が平壌を3度も訪問したので、バランスを合わせる次元でも、北朝鮮の最高指導者の答礼訪問は実現させる必要がある。

正恩氏の答礼訪問は、韓国国内の対立を触発させ得る敏感な問題だ。答礼訪問をめぐる理念対決が起こり、左右陣営の激しい衝突が予想される。しかし、正恩氏に大韓民国の自由民主主義社会を見せて、北朝鮮をさらに開かれた社会に変化させるよう導く動力にもなり得る。正恩氏の時代に脱北した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は、「正恩氏の答礼訪問を必ず引き出さなければならない」とし、広場で「世襲統治反対」と「正恩氏万歳」の声が共に出てくる様子を見せ、自由民主主義体制を学習する機会にしようとした。

しかし、正恩氏の答礼訪問そのものが目的になってはならない。今、韓半島問題の基礎であり核心は北朝鮮の非核化であり、非核化なしでは米朝はもとより、南北関係の進展も期待できない。韓米首脳が24日、ニューヨーク会談で、米朝非核化実務協議の関連意見を調整したが、米政府は、「非核化前は制裁維持」の原則を明確にしており、米朝協議の結果は楽観できない状態だ。正恩氏も当分の間、南北関係よりも米朝非核化の実務協議に集中するだろう。

大統領府は昨年末、正恩氏の答礼訪問を繰り返し求めたが、北朝鮮は応じなかった。正恩氏は答礼訪問を通じて北朝鮮住民に誇示するプレゼントを手に入れることが難しいと判断する場合、無理に答礼訪問はしないだろう。しかし、北朝鮮が期待する制裁解除と体制の安全は、非核化協議が進展してこそ可能なことだ。このような状況で、韓国政府が正恩氏の答礼訪問そのものを目指して無理に推進すれば、曹国(チョ・グク)事態など政治的危機を切り替えるための「北風」という野党攻勢だけが強まるだろう。問題の核心は、完全な非核化であり、正恩氏の答礼訪問はその副産物だ。答礼訪問の議論に巻き込まれ、事の前後が変わったり本末転倒したりしてはならない。


チョン・ヨンウク記者 jyw11@donga.com