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私たちが経済を自ら守らなかった時があったか

私たちが経済を自ら守らなかった時があったか

Posted September. 02, 2019 08:43,   

Updated September. 02, 2019 08:43

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過去最長という米経済の好況が幕を下ろす兆しが明確になりつつある。先月27日、米国の国債の長短期金利の逆転幅が12年ぶりに最大値になった。たいてい長期債は短期債よりリスクが大きいため、より金利が高い「長高短低」の推移を見せる。長期債の金利が短期債より低い「短高長低」現象は、通貨緊縮政策で短期金利が急騰したり、将来の不況が予想される時に現れる。米中央銀行である連邦準備制度が緩和的な通貨政策を標ぼうしているため、今回の長期金利の下落は景気後退を予告すると見られている。米国債市場で満期10年以上の長期債金利が2年物以下の短期債より低くなる金利逆転は、1978年以降5回あった。それから約2年後には例外なく景気低迷が起こった。

米経済の不振は、世界経済の不振を意味する。輸出依存型経済である韓国には寒い冬が到来することを予告する。韓国経済は困難がある度に、輸出で危機を克服した。1997年の通過危機が欧米資本が原因で発生したという見方があるが、それ以前の94年から4年間、大規模な経常収支赤字が発生していたことに注目しなければならない。輸入より輸出が少ない貿易収支赤字が経常収支の赤字につながった。為替の要因もあったが、98年に韓国は90年代に入って初めて貿易収支を390億ドル黒字に反転させた。そのおかげで国全体の対外取引の成績表である経常収支も黒字になった。このように輸出でドルを得て通貨危機を克服したのは周知の事実だ。2008年の世界金融危機の時も貿易収支が赤字だったが、翌年に輸出拡大で一息つくことができた。

輸出は、工場で良い物を作ればいいというものではない。政府が出て国家間の貿易環境を作らなければならない。現在、韓国と自由貿易協定(FTA)が発効されている国は52ヵ国。その大半が、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時に撒いた種の結果だ。初めてのFTA締結国のチリとは、通過危機直後の99年、金大統領が農家の激しい反対を押し切って交渉を始め、盧政権の時の03年に署名した。シンガポール、EFTA 4ヵ国(スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)、アセアン10ヵ国、インド、欧州連合28ヵ国、米国、カナダ、中国、ニュージーランドとのFTAは、盧政権で交渉を開始した。

現政権は、韓国経済を自ら守らなければならないと主張する。日本の経済報復後、対日依存度を下げなければならないという意味だということは皆が分かっている。しかし、対米関係まで悪化の一途を辿るのを見ると、「経済安全保障論」の外縁がどこまで広がるのか懸念される。根本的には、グローバル市場で韓国の位置と貿易構造の作動方式に対する理解が異なるような印象を与えることが問題だ。私たちがいつ経済を自ら守らなかったことがあったのか。韓国経済を守るための努力の結果が今日の世界10位圏の経済大国だ。これはクモの巣のように絡み合った貿易ネットワークと国際分業構造を最大限活用したおかげだ。最近、企業関係者らが本業である経済よりも政府が担う外交を心配するのもこのような脈絡による。世界の景気が悪くなる時であればあるほど、貿易ネットワークを堅固にしなければならないが、今は反対に進んでいるように見える。

産業化時代には図体の大きな企業が小さな企業を食いものにし、情報化時代には俊敏な企業が遅い企業を食いものにし、今はグーグルやアマゾンのように自ら生態系を構築し、その中に友人が多くいる企業が友人の少ない企業を食いものにする時代だ。企業だけがそうだろうか。自由貿易の時代が終わりつつある状況では、国家もまた例外ではないだろう。


コ・ギジョン記者 koh@donga.com