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サッカー崛起をうたう中国の劇薬処方

Posted August. 09, 2019 09:56,   

Updated August. 09, 2019 09:56

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中国サッカーが久々に盛り上がっている。2022年カタール・ワールドカップ(W杯)の2次地域予選を約1ヵ月後に控えて、帰化選手たちの活躍に期待が集まっているからだ。中国メディアは、スーパーリーグ(サッカーのプロリーグ)最高の外国人選手であるブラジル人FWエウケソンが代表選手になったことを伝え、「韓国や日本もびくびくすることだろう」と報じた。エウケソンは2013年からスーパーリーグで活躍し、130余りのゴールを記録している。

先にニコラス・イェナリスらハーフ2世選手の代表選出に力を入れてきた中国だが、今度は純粋な外国人選手の帰化に焦点を合わせている。エウケソンに続いてヒカルド・グラル(ブラジル)らスーパーリーグで活躍するトップクラスの外国人選手も帰化後に代表チームに合流する。巨額の投資で中国代表チームの顔ぶれが様変わりする。

帰化政策は、2022年カタールW杯進出のための苦肉の策だ。中国は、習近平主席が「サッカー崛起」を唱えているだけに、結果を出さなければならない状況だ。習主席は2011年に「中国のW杯本大会出場、W杯開催、W杯優勝が私の三つの夢」だと明らかにした。中国は2002年韓日W杯に一度だけ出場しており、その後はW杯本大会出場がない。サッカーに莫大な資金を投入しているが、なかなか前進できていない。

中国代表監督を一度辞任して復帰したマルチェロ・リッピー氏が掲げた復帰の条件が帰化選手だった。今の時点でW杯本大会に進出するためには、帰化政策以外に道はないと判断したのだ。カタールの成功例も影響を与えただろう。今年初めに開かれたアジアカップでカタールが韓国と日本を制して史上初の優勝を果たした。2022W杯開催国のカタールには帰化した代表選手が6人もいた。アジアカップの得点王とMVPに輝いたアルモエズ・アリもそのうちの一人だった。

ところが、ここにきて中国サッカー界の確信の中に不安感が芽生え始めた。Kリーグで中国スーパーリーグに移籍した金信旭(キム・シンウク)の好調がその一つ。金信旭は全北(チョンブク)から上海へ移籍した後、5試合で8得点を挙げている。韓国代表の核心選手でもない金信旭がエウケソンらトップクラスの帰化選手に負けない活躍をすると、中国のW杯出場の可能性について冷静に考えようとする動きが出始めたのだ。

マルコンの不振にも中国サッカー界は戸惑いを見せている。マルコンは昨年Kリーグ慶南(キョンナム)所属でリーグ得点王になった後、今季にスーパーリーグの河北華夏へ移籍した。大活躍が期待されたが、20試合で6得点に止まっている。河北にはマルコン以外にも2人のトップレベルの外国人選手がいる。しかし、チームは下位に低迷している。マルコンは自身とチームの不振について、「外国人選手と中国人選手とのレベルの差が大きい」と話した。中国人選手たちが外国人選手たちをまともにサポートできていないという。中国代表チームでも同じ問題が起こりかねない。

帰化選手と中国人選手との化学的な結合の成敗も未知数だ。実際、アジアカップで優勝したカタールの成功例も、試行錯誤の結果だった。カタールは急激な戦力アップを図り、帰化選手の割合を60%まで増やした。しかし、国歌も歌えない帰化選手に国への犠牲を要求するのは簡単なことではなかった。その後、帰化選手の割合を減らし、国内外の有望株の育成により力を入れるようになった。中国政府が今年初め、「帰化した選手は、中国国歌が歌えなければならない」などの新規定を発表した理由でもあるだろう。

中国国内でも長期的なプランを樹立するべきだという声が多いが、中国サッカー界は結局、帰化という劇薬を処方した。成功すれば大転換の契機になるだろうが、失敗すればその衝撃は相当なものになりそうだ。全てを原点から練り直さなければならなくなるかもしれない。中国製造業の圧縮成長モデルに似ているサッカー政策は成功するだろうか。W杯予選は来月本格的に始まる。


touch@donga.com