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24時間のドクターヘリに刻んだ「ユン・ハンドクの精神」

24時間のドクターヘリに刻んだ「ユン・ハンドクの精神」

Posted July. 12, 2019 10:57,   

Updated July. 12, 2019 10:57

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李國鍾(イ・グクジョン)亜洲(アジュ)大学病院圏域外傷センター長(外傷外科教授)は11日、慶尚南道泗川市(キョンサンナムド・サチョンシ)にある韓国航空宇宙産業(KAI)で、「ATLAS」(アトラス)という文字が刻まれたドクターヘリの尻尾に手をのせたまま、しばらく目を閉じた。このヘリは、8月末亜洲大学病院に導入される韓国国内で7番目のドクターヘリで、機体に刻まれたコールサイン(呼出符号)ATLASは、今年2月4日の旧正月連休、医療空白を防ぐために病院を守る途中、執務室で死亡した状態で見つかったユン・ハンドク中央救急医療センター長を象徴する。

李教授は2月10日、ユン・センター長の告別式で、地球を支えるギリシャ神話の中の巨人アトラスにユン・センター長を喩えながら、「先生(ユン・センター長)が天から私達が導入するドクターヘリを他の機体と混同なさらないように機体表面にATLASを刻みたい」と追悼したことがある。李教授は同日、KAI側がヘリにコールサインを刻むという知らせを聞いて現場を訪れたのだ。

海軍ジャンパーを着て現場に現れた李教授は、ヘリの内外を入念に調べた。マレーシアで中古を取り寄せたこのヘリコプターは、直前に使用した運送会社が尾部のみを青く塗った状態だった。通常は、機体を完全に塗りなおすが、李教授は、既存の背景色をそのままにして、必要な文字だけを追加で刻み、塗装を仕上げてほしいと、KAI側に頼んだ。塗装作業にかける時間を惜しんで、一日も早く現場に投入するためだ。

ヘリコプターは、一度に21人が乗れる大型機種である「H225」だ。長さが19.5メートルで、まっすぐに立てると、5階建ての建物より高い。仁川嘉泉(インチョン・カチョン)大学吉(キル)病院などが運営している既存のドクターヘリより、収容人数が3〜4倍も多い。李教授は中古ヘリを持ち込む代わりに、多くの医療スタッフが乗れる大型機種を保健福祉部に要求した。李教授は整備作業をする技術者たちに、「緊急手術が可能なように、大き目のストレッチャー(担架を固定するベッド)を置いてほしい」と注文した。

ヘリコプターの右側には、国内ドクターヘリでは初めてホイスト(巻上機)を搭載する。小さな船で重症外傷患者が発生したり、大型交通事故で高速道路の交通渋滞が激しく、ヘリコプターを着陸させることができないときも、空中で患者を引き上げるための機器だ。夜間運航が可能なように、大型照明装置と赤外線カメラも設置する。既存のドクターヘリは、出動時間は日の出後、日の入り前と制限されている。最長で1135キロまで飛行しながら、通信が途切れないように衛星アンテナも搭載する。

同日の李教授の訪問には、金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道(キョンサンナムド)知事が同行した。金知事は李教授との面談で、慶南地域でもドクターヘリを導入する案を検討したいと語ったと伝えられた。島と山の多い慶南は、救急車で患者を運ぶのが難しい地域が多いのに、ドクターヘリがおらず、救急医療の死角地帯に挙げられていた。

亜洲大学病院のドクターヘリの中には、ユン・センター長の生前の写真を付ける予定だ。李教授がユン・センター長の妻ミン・ヨンジュさん(51)に頼んでもらった写真だ。ミン氏は11日、東亜(トンア)日報との通話インタビューで、「夫が推進したことに関心を持ってもらい、忘れずに称えてもらってありがたい」と語り、「夫も天から見守るだろう」と話した。


趙健熙 becom@donga.com