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口先だけの親書とロマンチックな平和論、「対話ための対話」はいけない

口先だけの親書とロマンチックな平和論、「対話ための対話」はいけない

Posted June. 13, 2019 08:48,   

Updated June. 13, 2019 08:48

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トランプ米大統領が11日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の手紙を受け取ったと明らかにした。トランプ氏は、「とても個人的で、とても温かく、とても素敵な手紙」とし、「非常に肯定的なことが起こるだろう」と述べた。3回目の米朝首脳会談の可能性を残したが、その時期については「今後ある時点」とだけ述べた。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も3回目の会談について、「全面的に可能だ。鍵は正恩氏が握っている」と述べた。

正恩氏の手紙を機に、2月のハノイでの米朝首脳会談の決裂後100日以上、事実上、連絡が途絶えた状態の米朝が対話を再開させるのか期待を持たせる。しかし、ひとまずそのような糸口が見出されるにしても、3回目の首脳会談が行われるのか、さらに合意に至るのかは分からない。

ハノイの決裂で見たように、両首脳がいくら「良い関係」でも、それで合意に至るわけではない。非核化の解決策をめぐる双方の立場の相違は全く縮まっていないためだ。

特に北朝鮮は、米国の一括妥結式ビッグディールの要求には応じず、米国の態度変化だけを求めている。北朝鮮は先週、シンガポールでの米朝首脳会談1年を記念して談話を発表し、「私たちの忍耐にも限界がある。米国は計算方法を変更して、一日も早く私たちの要求に前向きに返事をするのが良い」と主張した。1年たった12日も、労働新聞を通じて、「戦争は外交やもの乞いではなく、強い力にのみ防ぐことができる」と強調した。このような脅迫調の言葉が、正恩氏の手紙にどのように潤色されているかは分からないが、これでは実務交渉が始まっても、時間を稼ぐための「対話のための対話」が続くだけだ。

 

北朝鮮は、金大中(キム・デジュン)元大統領の夫人、李姫鎬(イ・ヒホ)氏の葬儀にも弔問団を送らず、板門店を通じて弔文と弔花だけ伝えた。ハノイ決裂後、南北関係まで断絶させ、韓国に対して、「どちらの側かはっきりせよ」と迫る北朝鮮だ。南北対話の機会まで拒否し、米国には口先だけの手紙を送る正恩氏の態度からは、いかなる変化の兆しも見られない。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は12日、ノルウェーのオスロ大学での演説で、「平和は力によっては維持できない。理解によってのみ平和は達成される」というアインシュタインの言葉を引用し、「互いへの理解と信頼」を注文した。当然の話だが、冷厳な国際政治の現実でそのようなロマンチックな平和論で北朝鮮の核問題をどのように解決できるのか、ただもどかしい。米朝は各自の計算方法によって「外交ショー」を準備するが、韓国政府は脇役にまわるということなのだろうか。