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「愛国には保守も革新もない」としながら、いざ歴史論争に火をつけた大統領の演説

「愛国には保守も革新もない」としながら、いざ歴史論争に火をつけた大統領の演説

Posted June. 07, 2019 08:47,   

Updated June. 07, 2019 08:47

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、顕忠日(ヒョンチュンイル=戦没者追悼の日)の追悼の式典で「愛国には保守も革新もない」とし、「既得権に頼るなら保守も革新も本物じゃない」と語った。その上で、「常識の範囲で愛国を考えるなら、私たちは統合社会に発展可能」とし、韓米同盟の重要性も強調した。護国と英霊顕彰を通して保守と革新を超えた国民統合を訴えるメッセージだ。

文大統領は特に「今、私たちに与えられた独立と民主主義、経済発展には保守と革新の努力が一緒に溶け込んでいる」と述べた。保守陣営の経済発展の功績と、革新陣営の民主主義発展における功績を互いに認め合うべきということだ。文大統領はまた、「この地の自由と平和のため、最も大きな犠牲を強いられた国は米国だった」としながら、韓米同盟の価値を今一度強調した。イデオロギーによる対立が激しくなっている中、文大統領が統合と愛国、韓米同盟の価値を殊更強調したのは時宜を得たものだった。しかしながら、突如、文大統領は義烈団の活動で知られる「金元鳳(キム・ウォンボン)」の名前を追悼の辞で正式に取り上げた。文大統領は「光復軍に若山(ヤクサン)の号を持つ金元鳳先生が率いる朝鮮義勇隊が編入され、ついに民族独立運動の力を集結した」とし、「連合軍と共に養われた軍事的力量は朝鮮解放後、国軍創設の根幹となり、ひいては韓米同盟の土台を築いた」と話した。

金元鳳(キム・ウォンボン)は1948年、北朝鮮の政権樹立に参加し、国家検閲相、労働相などの要職を歴任した人物。1952年3月には金日成(キム・イルソン)から韓国戦争における功績を認められ最高勲章の一つである労働勲章を授与された。金元鳳(キム・ウォンボン)の光復軍での活動について反論もあり、論争は終わっていない状況だ。このような状況で大統領が歴史学界の合意すら得られていない業績を、戦没者を追悼する記念辞に入れるなど理解に苦しむ。しかも国軍の創設や韓米同盟の土台に触れるくだりで、あえて金元鳳(キム・ウォンボン)を取り上げる必要はあったのか疑問だ。

文大統領の追悼の辞について野党の自由韓国党と正しい未来党は「金元鳳(キム・ウォンボン)叙勲に向けた地ならし発言」として反発した。大統領の追悼の辞が、主な文脈であった国民統合のためのメッセージとしてではなく、新たな対立の火種になったのだ。保守と革新を超えようとした文大統領のメッセージが、納得のいくものになるためには、過去の行状を巡って議論になった人物についての評価は慎重であるべきだ。