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銀行の雇用成績を公開へ、金融機関に革新を迫る政府が「雇用拡大」を強制

銀行の雇用成績を公開へ、金融機関に革新を迫る政府が「雇用拡大」を強制

Posted June. 07, 2019 08:48,   

Updated June. 07, 2019 08:48

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金融委員会が金融機関を対象に、雇用の受け皿づくりを評価する「金融機関の雇用成績表」を作成、公開する方針を示し波紋を呼んでいる。インターネット・バンキングやモバイル・バンキングでの取引が普及し、人員削減に取り組まなければならない状況下で、逆に雇用を増やしてしまうと、すでに肥大化した銀行の雇用構造にメスを入れる術がなくなるからだ。特に、金融機関の健全性と効率向上を迫っている金融当局が、片方では公共機関で進めている雇用機会の創出と似たような雇用の受け皿づくりを押し付けるのは矛盾している、との指摘もある。

金融委員会は6日、都市銀行と地方銀行を対象に雇用創出の貢献度を評価し、8月に発表すると明かした。来年は評価対象を銀行以外の金融業にも拡大する予定だ。金融委員会は、「政府主導の『雇用中心の経済』という政策目標を達成するためにも金融業界が果たす役割を強化すべきだ。労働条件が良好で賃金レベルの高い金融業は若者に好まれる職業だ」と政策推進の背景を説明した。また、新技術導入で急変する金融産業を取り巻く環境の中で、いかに雇用を維持できるのか綿密に精査すると明かした。

金融委員会は、これを受けて金融監督院、韓国金融研究院、韓国労働研究院と共に都市・地方銀行の雇用創出への貢献度、部門別優秀事例を公開する予定だ。銀行を一律比較するのは無理があるため、個別銀行の事例は発表せず、銀行全体としての成績を開示する。

金融業界では、経営のスリム化を手引きすべき金融委が返って革新の足かせになるのでは、という声が少なくない。人工知能(AI)などの新技術により非対面チャネルの取引が増え、人材の需要は減る一方だ。この現状で無理やり雇用を増やすと労働生産性が落ちるのは必至だからだ。

だからこそ、政府は数字目標を掲げ金融機関の雇用をごり押しするより、新産業における雇用受け皿を増やすため規制緩和に力を入れるべきとの意見もある。ソウル市立大のユン・チャンヒョン教授は「新産業の育成、規制緩和に一層取り組めば雇用は自ずと生まれる」とし、「雇用創出を強要するのは馬の前に荷馬車を付けるようなもの」と話した。


チョ・ウンア記者 ナム・ゴンウ記者 achim@donga.com · woo@donga.com