Go to contents

卵の殻を割って出るための闘争

Posted May. 27, 2019 11:01,   

Updated May. 27, 2019 11:01

한국어

「鳥は卵の殻を割って出ようと戦う。卵は世界だ。生れようとする者は、ひとつの世界を破壊せねばならぬ。」(ヘルマン・ヘッセ、「デミアン」)

幼い頃から運動を始めた私は、いつも相手と競争しながら生きてきた。負けないように努力し、負けたらもっと努力した。プロ選手の生活から引退後のコーチ生活をする時までずっと続いた。しかし、選手を指導しながら生じる疑問は、「本当に努力が足りなくて成功できないのか」ということだった。

そんなある日、デミアンを読んで思わず「ユーレカ」を叫んだ。これまでの疑問を解決できる文章を読むことになったのだ。それは成長するためには、もう一つの世界を破らなければならないということ。以来、私は固定観念から抜け出して、他の視点で世界を見始めた。世の中で変わらないのは、「世界は変化していること」なのに、私はこれまで自分だけの世界で生きてきた。その世界だけに視線が止まっていたので、広く見ることも、考えることもできなかったのだろう。

2012年、LGツインズの投手コーチを務めていた。うちのチームは、それまで信頼できるクローザーがおらず、いつも不安な試合をやってきたし、この部分を解決できず、良い成績を出せなかった。

だから当時、チームの先発エースだった奉重根(ポン・ジュングン)投手をクローザーに切り替えることにした。ところが、よく投げる先発ローテ1番手をクローザーに変えることは簡単な問題ではなかった。球団の反対がひどく、奉重根も決定を下せなかった。私は固定観念を破り、新しい世界に進まなければ発展できないと主張した。当時キム・ギテ監督は私の考えを信じてくれた。奉重根は抑え投手に転向し、うちのチームは10年間の暗黒時代を終え、レギュラーシーズンで2位につくことができた。

LGツインズの団長を務めている今も、卵の中から抜け出さなければならないという考えには変わりがない。ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領は、「最初に始めることは、すべて不可能に思われる」と語った。今日も慣れなさと固定観念から脱して、別の世界に会おうと努力する。