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北朝鮮、開城工団の設備で外貨稼ぎ

Posted May. 24, 2019 09:43,   

Updated May. 24, 2019 09:43

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北朝鮮が、開城(ケソン)工業団地にある韓国の企業関係者の設備を平安北道東林郡(ピョンアンプクト・トンリムグン)などいくつかの地域に密かに移転し、衣類賃加工で外貨稼ぎをしていることが分かった。政府が開城工団の入居企業関係者の訪朝を承認した後、北朝鮮が返答しないのは、このような「設備移転」が明らかになることを懸念するためだという観測も流れている。

中国で活動する北朝鮮のある貿易会社関係者は、「昨年から力のある(北朝鮮の)国家貿易会社は、外貨稼ぎ事業で開城工団の設備を積極的に利用するよう中央の指示を受け、工団の設備を他地域に移転し、賃加工衣類会社を新設したり増強したりした」と話したと、自由アジア放送(RFA)が22日、報じた。また、「今でも(この)設備で生産された様々な衣類が、中国の密輸船によって中国を経て日本や欧州に輸出されている。設備を移して衣類を加工する会社は、平安北道東林郡をはじめいくつかの地域にあり、賃加工による外貨収入はいい」と伝えた。

政府が17日に開城工団入居企業関係者の資産点検のための工団訪問を承認した後、北朝鮮が応えないことは、これと無関係ではないと、同関係者は伝えた。そして、「韓国から開城工団設備を点検しに来るなら、密かに移転した設備を再び元の場所に戻さなければならず、外貨稼ぎも中断する。また、工団の設備がなくなったことが明らかになれば、恥をかく状況」とし、北朝鮮当局が訪朝を直ちに許可しないとの見方を示した。

これと関連して統一部当局者は23日、記者団に対して、「(設備の不法搬出疑惑と関連して)把握されなかった。確認できない」と話した。

昨年9月に開城工団内に南北共同連絡事務所が設置され、韓国人職員が24時間常駐している。しかし、事務所開設から8ヵ月経ったが、北朝鮮が2016年2月に一方的に資産凍結措置を下した工団設備の状態を今も確認できていない。工団内の韓国の資産価値は約1兆564億ウォンにのぼる。北朝鮮は、直接見せないが、工団の設備を保存してあるという趣旨の発言だけ政府と企業関係者に伝えているという。

これまでも、北朝鮮が開城工団を密かに稼動して外貨稼ぎをしているという疑惑は提起されてきた。17年10月には、工団内の19の衣類工場が稼動しているという主張がなされ、18年8月には韓国企業が撤収して残した電気炊飯器の完成品を中国に密輸出したという疑惑も提起されている。北朝鮮宣伝メディア「わが民族同士」が17月10月6日、「(開城)工業地区で何をしても関係ない」とし、工団稼動疑惑に反発した。

開城工団企業関係者は慎重な立場だ。開城工団企業協会のチョン・ギソプ会長は23日、東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「北朝鮮にも服を作る設備はいくらでもある。ただ仕事がない」とし、「(工団設備の無断搬出は)確認できない話」と語った。


黃仁贊 hic@donga.com · 李知訓 easyhoon@donga.com