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社会告発のダークウェプ漫画が人気、被害者など社会の様々な主体の声にスポットライト

社会告発のダークウェプ漫画が人気、被害者など社会の様々な主体の声にスポットライト

Posted May. 09, 2019 08:55,   

Updated May. 09, 2019 08:55

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「法には穴がある。私はその穴を埋める。あなたを釈放した法を恨みなさい」

優秀な成績、穏やかな性格、優れた体力まで備え、同僚の信頼を独り占めした警察大学学生のキム・ジヨン。彼は子供の頃、凶悪犯によって母の命を奪われた。警察大学に入学後、自ら自警団を組織し、法が裁けない犯罪者を訪ねて個人的に復讐する。作品に登場する事件と犯罪者はチョ・ドゥスン事件、アウディ飲酒逆走行事件など、実際のニュースを連想させるほど、ほとんど脚色しなかった。ウェプ漫画「vigilante」は、仮想のキャラクターを通じて社会の不条理を告発する。

社会の暗黒面を示し、告発的メッセージを込めた「ダークウェプ漫画」が人気を集めている。法の限界、性暴力、家庭内暴力など、題材も多様だ。ウェプ漫画でこれまで注目されなかった被害者と様々な社会主体の声にスポットライトが当てられ、読者は登場人物の傷や痛みに共感する。

3月に正式連載を開始したウェプ漫画「27―10」が代表的だ。タイトルの「27―10」は、10歳から始まった父の性暴力を、27歳になって語るという意味で、家庭内性暴力という容易でないテーマを取り出した。成人になった主人公は、「父の家」を離れて、心理カウンセリングを受けるほどに変化し、自分の話を淡々と打ち明ける。作家AJSは、「始めるまでに非常に長い時間がかかったので、もしかしたら永遠にできそうになかった話。彼女が辿ってきた時間の記録だ」と説明した。

4月に正式連載を開始した「地面を見て歩く子供」は、家庭内暴力と歓迎されない妊娠、出産を赤裸々に描写した。主人公は一見、普通の10代の少女だが、時々子供の頃のひどい暴行のトラウマで身震いする。生みの親から「君は生まれてはならなかった」という言葉の暴力や暴行を受けながら育ったからだ。男児を好む思想による中絶問題や家庭内暴力の構造的問題を指摘した。

読者は「社会の腐った部分をあからさまに刺すウェプ漫画」「どっしりと胸が痛い」と深く共感しながらも、「あってはならない社会悪」と怒りを表している。ダークウェブ漫画のコメント掲示板は、作品の中の事例と同様の本人の被害を吐露したり、苦しい現実に憤る読者の意見でいっぱいだ。消防士の物語を扱ったウェブ漫画「1秒」には、作品よりも劣悪な消防士の処遇を皮肉る現職消防士の意見も掲載されている。読者は現実性の低い作品にも、積極的に言及している。妊娠した10代の若者の物語を扱った「ティーンマム」については、女性が望まない妊娠で経験する差別や悩みをあまりにも軽く扱ったという指摘が出た。読者は、妊娠した一人の女子生徒が自分の人生を心配するよりも、ボーイフレンドから振られることを恐れ、女性一人で妊娠の責任を負うシーンなどが問題だと主張し、連載中止を求めた。

靑江(チョンガン)文化産業大学漫画創作科のパク・インハ教授(マンガ評論家)は「ウェブ漫画の読者が増え、年齢層も広くなったことで、社会の暗い断面を描くなど、様々な分野にテーマが広がっている」とし、「ジャンルの特性上、作家が自分の告白的叙事で苦しい経験やトラウマを打ち明け、癒しが得られる特徴がある」と説明した。キム・ヨジョン・ネイバーウェプ漫画リーダーは、「社会内の複数の主体の声が注目されるようになっただけに、さらに多様な題材を取り上げた作品を発掘したい」と語った。


キム・ギユン記者 pep@donga.com