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日本の新天皇「世界の平和を切に希望」と初めて発言、「護憲」には触れず

日本の新天皇「世界の平和を切に希望」と初めて発言、「護憲」には触れず

Posted May. 02, 2019 08:52,   

Updated May. 02, 2019 08:52

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1日、第126代天皇に即位した新天皇は、「国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と即位後初めての「お言葉」を述べ、上皇が30年前に天皇に即位した時と同じように「平和」の重要性を強調した。

しかし、平和憲法については、「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓います」と述べた。上皇と違って明確に護憲の意思を明らかにしなかった。これに対して、新天皇が護憲と改憲両論が存在する現在の状況を反映して中立を選択したという分析が出ている。平和憲法を守る意志が弱いという点で懸念する声もある。

護憲、改憲の意向、盛り込まず

天皇は同日午前11時10分、皇居の宮殿・松の間で「即位後朝見の儀」を行った。天皇即位後、安倍晋三首相はじめ閣僚のほか、都道府県知事など266人の国民代表と初めて対面した。

天皇は即位の発言で、「上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめる」と述べた後、憲法について言及した。上皇陛下は1989年1月の即位式の時、「日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓う」と明らかにした。「守る」という表現を通じて護憲の意志を明確に示した。

これを受けて、中京大学の佐道明広教授は、「天皇陛下のお言葉は、現行憲法に従うだけでなく、改正された憲法にも従うことができるという意味に読める」と指摘した。そして、「ただし天皇が『憲法改正』の意思を表わしたわけではなく、平和憲法に規定されている象徴である天皇の役割を果たす意向を示した」と解釈した。

佐道氏は、安倍内閣が事前に文言を協議し、調整した可能性も提起した。佐道氏は、「天皇陛下の初めてのお言葉は国事に該当するため、内閣の決定を経なければならない」とし、「当初、上皇陛下と同じように『憲法を守る』と表現したが、内閣が文言を調整して『憲法にのっとり』と変わったのかも知れない」と推測した。

安倍氏は、天皇の即位のお言葉の直後、国民を代表して感謝の挨拶をし、「天皇から憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴として責務を果たすというお言葉があった」と言及した。儀式の前に天皇の発言内容を知っていたことを示唆する。

韓日専門家たちは、天皇は戦争経験がない戦後世代で、30年前と違って現在は護憲と改憲の両論が日本社会に存在するため、憲法に対して「中立的表現」を使ったと分析した。国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授は、「時代精神をよく見なければならない。1989年は戦争の記憶により『護憲』が国民の大多数だった。しかし今は、護憲、改憲の両論があるため、『憲法を守る』という表現ではなく『憲法にのっとる』という言葉を使ったようだ」と指摘した。戦争に対する謝罪と責任の意識が薄くなった日本社会の現状が反映された可能性があるということだ。

政治に介入できない限界

静岡県立大学の奥園秀樹教授は、「上皇陛下は戦争を経験したので、平和を守らなければならないという意志が非常に強かった。平和憲法に手をつけないという思いを込めて『憲法を守る』と表現した」とし、「しかし、今このような表現を使えば『天皇が政治に介入する』という印象を与える恐れがある」と説明した。

現行憲法上、天皇は憲法に規定された「国事」だけを行い、「国政」には関与することはできない。国事には衆議院の解散、国会の招集、閣僚の任命などがある。しかし、すべての国事行為は「内閣の助言と承認」が必要なので、天皇が実質的に決定権を持つわけではない。ソウル大学の朴喆熙(パク・チョルヒ)教授は、「天皇は権威を、首相は権力を有している。天皇に護憲、改憲を決める力はなく、また決めてもならない」と強調した。

また、「天皇の初めてのお言葉のキーワードは、平和、国民、憲法と見える。上皇と事実上同じだ」と指摘した。東京大学の木宮正史教授も、「天皇陛下が戦争を体験せず、戦争を経験した世代と憲法に対する考えは違うこともあるが、基本的に平和、戦争反対の意志が非常に強い」とし、「上皇陛下と同じ歩みを見せるだろう」と見通した。

安倍氏は、日本の右傾化の流れの中で改憲を強く推進している。特に、自衛隊の根拠を明確にする内容を憲法に加えようとしている。先月末、「美しい調和」を意味する「令和」の開幕を控え、国民的支持が高まると、再び改憲の意思を示した。韓日専門家たちは、上皇が安倍氏の軍国主義の歩みを牽制する発言をしたように、新天皇も同様の声を出すと予想した。


東京=パク・ヒョンジュン特派員、キム・ボムソク特派員 lovesong@donga.com