Go to contents

韓国軍主導の未来連合司令部創設、韓国の「意志」でなく「能力」が問われる

韓国軍主導の未来連合司令部創設、韓国の「意志」でなく「能力」が問われる

Posted November. 01, 2018 08:12,   

Updated November. 01, 2018 08:12

한국어

鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官とマティス米国防長官は31日、ワシントンで韓米安全保障協議会(SCM)を開き、戦時作戦統制権の韓国軍への返還に向けた未来連合司令部の創設案を承認した。戦作権返還後に韓米連合司令部に代わる未来連合司令部の司令官は韓国軍大将が、副司令官は米軍大将が務めることになる。このような上部指揮構造のほかは、ほぼ既存の体制が維持される。また、12月に予定されている合同空軍演習「ビジラントエース」も中止することで合意がなされた。

今回の合意で、戦作権返還計画は文在寅(ムン・ジェイン)政府の任期内、すなわち2022年までの完了目標に近づいた。特に、未来連合司令部の指揮構造と関連して、米軍が他国軍の指揮を受けた前例がなく、今回も合意は難しいという観測が多かったが、韓国軍司令官体制に合意した。米国としては、韓国軍が戦作権を持って連合防衛を主導する体制に合意した状況で、米軍が司令官のポストに固執することは難しいと判断したとみられる。

韓米両国は、戦作権返還後に適用される連合防衛指針も設けた。指針には、在韓米軍が韓国に継続して駐留し、韓米連合軍司令部は解体ではなく未来連合司令部として維持され、米軍は有事の際、韓半島増援戦力を保障するという内容が盛り込まれたという。国防部は「戦作権返還にともなう国民の安保憂慮を解消できるだろう」と期待した。しかし、韓米連合軍司令部の指揮体制の根本的変化にともなう安保弱体化の憂慮は簡単には消えないだろう。

韓米が2014年に合意した「条件に基づいた戦作権返還」の原則によって、韓国軍は連合防衛の主導能力と北朝鮮の核・ミサイル対応能力を備えなければならない。にもかかわらず、韓米合同演習は相次いで中止されており、韓国政府は北朝鮮の核に対応する能力である「3軸体系」構築計画も、「北朝鮮の非核化の進行と連係して柔軟性をもって検討する」と縮小の動きを見せている。さらにトランプ米大統領の「米国第一主義同盟観」という潜在的リスクも依然として残っている。米国の防衛費分担金の増額や戦略資産費用の負担要求、在韓米軍撤収の圧力にも備えなければならない。

このような流動的な安保環境では、戦作権の返還も未来連合司令部の創設も韓国政府の意志だけでできるものではない。韓国軍が担う責任は重大で、それに耐えることができる十分な能力が前提とされなければならない。また、その能力は不確かな北朝鮮の非核化とは別に構築されなければならない。北朝鮮が非核化から離脱する場合、崩壊した安保を復元することは容易ではない。両国が今回も戦作権返還の時期について具体的に釘を刺さなかったのもこのためだろう。安保に実験はあり得ない。