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フィンランド「フローフェスティバル」の盛り上がりの現場

フィンランド「フローフェスティバル」の盛り上がりの現場

Posted August. 17, 2018 10:05,   

Updated August. 17, 2018 10:05

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フィンランドのヘルシンキ市内から北東側にある、今では廃墟となった発電所の敷地「スヴィラッティ」。

遠くから見れば、恐竜の背骨のように醜いこの場所は、毎年この時期になると、音楽の魔法でよみがえる。8月に約9万人(3日間の参加人数)の観客が幽霊のように埋め尽くされるところ。北欧で最も熱くクールなヒップスターフェスティバル、「フローフェスティバル(Flow Festival)」だ。今年もこの敷地に10件のステージが設けられた。10〜12日、ソウルの息苦しいオフィスの代わりにここに通勤してみた。

フローは、21世紀北欧で最も急速に成長した大衆音楽フェスティバルだ。その背景には、相反するものの衝突と流れ(flow)という明確な話題がある。フローの代表的イメージは、青い野原ではない。20階建ての高さにそびえる4つの赤茶色の古い発電所の煙突だ。

それが喩えるように、ここの絶対命題は再生と持続可能性だ。迷路のように設計されたフェスティバル敷地のあちこちに廃自転車、廃タイヤ、廃コンテナを活用した設置美術が一杯陣取っている。洗練された建築とマルチメディアの作品からグラフィティのようなストリートアートまでを包括する。

発電所に象徴される産業の後遺症を癒し、ヒューマニズムの旗の下で人間と人間の間の敷居と亀裂を排除しようと試みる。例えば数万人が集結する騒々しい祭りだが、車椅子と松葉杖の人を簡単に目にできる。他の野外フェスティバルでは想像しにくい風景である。すべてのステージに障害者のための別の通路を設けている。祭りの最終日の午後は「ファミリーサンデー」だ。10歳以下の児童は入場が無料で、アニメーションの上映、体験遊びなどを行う。

この祭りの出発点は家族である。フローフェスティバルの設立者はスビ・カリオ、トゥオマス・カリオ氏夫婦(43)。それぞれ公演企画者とデザイン学徒だった彼らは、代替的な大型祭りを想像して2004年、フローを立ち上げた。祭りの会場で会ったトゥオマス氏は、「家族を作って子供を産んだことで自然に家族が一緒にするフェスティバル、世代が疎通する祭りを想像して実行に移した」と話した。

3日間144チームに達する膨大な出演陣を貫く話題も、世代間疎通である。ラッパーのケンドリック・ラマーが客席を盛り上げる一方で、それぞれミニマリズム音楽とエレキ音楽のパイオニアであるテリー・ライリー(83)とグループ「タンジェリンドリーム」までを舞台に立てたフローの眼目は非凡である。現場で会った韓国人DJ、イェジが「他の祭りでは見たことのない不思議な形だ」と話した「360度のバルーン舞台」では、米ギタリスト兼シンガー「モーゼス・サムニー」(28)がものにつかれたようなパルセト歌唱と舞台マナーで、プリンス(1958~2016 )の生まれ変わりを示した。

女性ミュージシャンたちを毎日、主要時間帯に配置した。そのおかげで、「大衆音楽の歴史で、女性の役割についての考察」のような論文を3日間で読破したようだった。パンク・ロックの名付け親パティ・スミス(72)から、米女性ロッカー・セント・ビンセント(36)、フィンランドの歌手アルマ(22)まで…。スビ氏は、「女性出演者の割合を半分に維持することを基本原則とした」と説明した。

12日夜、発電所の敷地を離れながら、来年8月にフローを再度訪れる想像をした。フィンランド現代建築の父アルヴァ・アールトの息吹が残っているアールト大学のキャンパス、マルチメディア・ギャラリーで再オープンした「アモスレックスミュージアム」を一緒に見て回るのも一方法である。この数年の間、ヘルシンキが全世界の若者たちの新しい「ロマンシティ」に浮上したのには理由があった。


ヘルシンキ=イム・ヒユン記者 imi@donga.com