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ピューリッツァー賞受賞「21世紀のボブ・ディラン」、ケンドリック・ラマー、ソウル公演

ピューリッツァー賞受賞「21世紀のボブ・ディラン」、ケンドリック・ラマー、ソウル公演

Posted August. 01, 2018 09:37,   

Updated August. 01, 2018 09:37

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「Pulitzer Kenny」

午後8時、公演開始と共に大型スクリーンにこの言葉が現れた。「ピューリッツァー賞を受賞したケニー(ケンドリックの愛称)」という意味だ。ソウル松坡区(ソンパク)の蚕室(チャムシル)総合運動場の補助競技場で先月30日に開かれた米国のラッパー、ケンドリック・ラマー(31)の初めての来韓公演は、このような「スワッグ(swag、誇示)」で始まった。

ラマーは、「21世紀のボブ・ディラン」と言える。ラップで音楽の文学性を証明し、今年初めにヒップホップシンガーで初めてピューリッツァー賞を受賞した。この栄誉を2万の観客に掲げて火ぶたを切ったのだ。ボブ・ディラン来韓公演から3日で半世紀の大衆音楽史を快速旅行したようだ。

ラマーは自分の遺伝子に何が含まれているかを語る「DNA」で公演を始めた。ライフル銃と散弾銃をかわるがわる持つように、装填された単語をリズムの波の間に適材適所はめ込み、70分間で18曲を歌った。

舞台の演出は予想よりシンプルだった。3つのスクリーンに短い映像やイメージを繰り返し投射しただけ。この3年間、グラミーやBETアワーズで見せた大層な演出はなかった。囚人服に鎖を巻き付けて、脱獄したり、パトカーにのぼってラップを歌う設定は見られなかった。ラップのナラティブに集中できなければ、多少退屈かもしれない舞台だった。

エミネム以来の最高のラッパーと呼ばれるラマーは、これまで12個のグラミー賞のトロフィーを手にした。「Good Kid, M.A.A.D City」(2012年)、「To Pimp a Butterfly」(2015年)、 「Damn」(2017年)・・・。毎回、米社会の偽善をラップ技術と隠喩的な歌詞に盛り込み絶賛された。

ラマーの曲の中で「Alright」を繰り返す「We gon' be alright」というフレーズは、2015年の黒人人権運動の賛歌だ。1950、60年代、黒人平等権運動を率いた「We Shall Overcome」に肩を並べる。同日の舞台で、「Alright」はスクリーンに巨大な火炎が投射されて始まった。体に火がついて叫ぶようなラマーの「We gon' be alright」は、「米社会はまだ燃えている、私たちは今危険だ」という力説と読める。

ラマーは最近、アルバム「Damn」と映画「ブラックパンサー」のサウンドトラックで、孤独な黒人ヒーローを自任する。「誰も私のために祈ってくれない」という絶叫が交響曲のメインリズムのようにいくつかの曲で繰り返される。

公演の最後の曲は他でもない「ブラックパンサー」の主題曲「All the Stars」だった。多くの星の光は過ぎ去った時代の黒いヒーローたちを意味する。客席に1つ2つ携帯電話のライトがつくと、ラマーは観客に、「そうだ、それがいい。もっとつけ」と促した。客席を見てラマーは誰を思い出しただろうか。「Backseat Freestyle」で叫んだ(「Martin had a dream!」)マーティン・ルーサー・キング・ジュニアも彼ら一人だっただろうか。


イム・ヒユン記者 imi@donga.com