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[社説]北朝鮮の非核化に進展がないのに「贈り物」で韓米軍事演習を中止するのは悪い前例となる

[社説]北朝鮮の非核化に進展がないのに「贈り物」で韓米軍事演習を中止するのは悪い前例となる

Posted June. 16, 2018 09:12,   

Updated June. 16, 2018 10:22

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トランプ米大統領が6・12米朝首脳会談で韓米合同軍事演習の中止の方針を明らかにし、両国軍当局が公式協議に入った。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が14日、「北朝鮮に対する軍事的圧力を柔軟に変化させる必要がある」として韓米間の協議を指示し、米国防総省も「トランプ氏の趣旨に合わせてオプションを提供できるようにする」と明らかにした。このため、8月に予定されていた乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン(UFG)演習の一時中止または延期の決定が発表される模様だ。

トランプ氏が一方的に明らかにした合同軍事演習の中止は、ひとまず韓米間の協議を経て決定する形式を取るようだ。どの合同軍事演習が対象になるのか、いつまでなのかなど協議する事案は少なくないが、すでに決定された事案を事後に協議する過程ではいけない。防衛的定例演習を交渉手段に転落させたことからして大きな問題だが、北朝鮮の非核化に実質的な進展がないにもかかわらず決定した過程も悪い先例になりかねないため、綿密な安保対策を設けた後に発表しなければならない。特に「北朝鮮との交渉が行われる間」という前提があるため、いつでも演習を再開する態勢も、さらに演習中止が長期化する場合、それにともなう安保空白を埋める方法も徹底して用意しなければならない。

にもかかわらず心配なことは、合同軍事演習の中止が韓米同盟に基盤を置いた対北朝鮮安保態勢の実質的な弱体化につながる恐れがあるという点だ。合同軍事演習は、有事の際の米軍増援戦力の展開が核心なのに、その演習が中止されれば、対応力の顕著な弱体化として現れるほかなく、在韓米軍撤退論につながりかねない。大統領府関係者は15日、「在韓米軍は韓米同盟次元の問題なのでいかなる形態であれ米朝交渉の対象にならない」と強調した。しかし、同盟も取引と見るトランプ氏が合同軍事演習中止のような一方的な決定を再びしないという保障はない。

このような事情から、北朝鮮は早速、対南攻勢に積極的に利用している。南北軍事会談に出てきた北朝鮮側代表が「再びこのような会談をするのはやめよう」と高圧的な態度を見せたのも、これと無関係ではないだろう。昨今の状況は、米軍に対する戦力依存度が高い非対称同盟で米国だけ信じることはできない韓国の境遇を改めて実感させる。最近一部で、平和ムードに合わせて国防力拡充計画も縮小調整すべきではないかという話が出ているという。危険千万な発想だ。今こそ自強に一層まい進する時であることを忘れてはならない。