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「北朝鮮の粒子状物質」の影響も最大で20%

「北朝鮮の粒子状物質」の影響も最大で20%

Posted May. 08, 2018 08:39,   

Updated May. 08, 2018 08:39

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韓国国内の粒子状物質に及ぼす国外からの影響といえば、中国だけを思い浮かべがちだが、首都圏の場合は、「北朝鮮発粒子状物質」の影響が最大で20%に達するという研究結果が出た。北朝鮮の粒子状物質排出量自体は多くないが、劣悪な燃料状況と悪い環境規制のためと推定される。政府は、南北環境協力の一環として、北朝鮮内での観測網の設置と観測人材の派遣を構想している。

亜洲(アジュ)大学環境安全工学科のキム・スンテ教授の研究グループが先月30日、韓国大気環境学会誌に発表した「首都圏の微小粒子状物質の濃度模写:北朝鮮排出量の影響推定」と題した報告書によると、2016年基準で北朝鮮から飛来してきた微小粒子状物質(PM2.5)は、一日平均で1立方メートルあたり0.5~1.0μgだった。2013年の北朝鮮、2014年の韓国微小粒子状物質排出量の統計に2016年の気象状況を勘案して試算した結果だ。韓国の年平均微小粒子状物質濃度は25μg前後で、北朝鮮発粒子状物質の影響は2~4%程度となる。

しかし、北に行くほど、北朝鮮から大きく影響を受けた。首都圏に渡ってくる北朝鮮粒子状物質は平均3.89μgで、全体粒子状物質の14.7%を占めた。北風が多く吹く1月は北朝鮮の影響力がさらに上がり、首都圏の北朝鮮発粒子状物質は約20%と推定された。

特に粒子状物質を作る物質のうち、木などの生物を焼却して発生した汚染物質(OC・organiccarbon)の場合、北朝鮮の影響力がはるかに高かった。1月に首都圏で測定されたOCの42%が北朝鮮発だった。研究チームは、「燃料状況が劣悪な北朝鮮で木や石炭を多く炊くためとみられる」と主張した。国連環境計画(UNEP)の2012年の調査によると、北朝鮮の農村地域は96%、都市も89%が木材や石炭を炊いた。

北朝鮮も、中国発粒子状物質の影響を少なからず受けていると推定された。研究チームが100メートル以上の上空で、平壌(ピョンヤン)に流入される空気の割合を分析したところ、中国方向から流入する空気が全体の73%に達した。韓国発微小粒子状物質も北朝鮮に影響を及ぼした。開城(ケソン)の場合、韓国発粒子状物質の割合が最大で13.7%を占めた。

北朝鮮の大気質状況について研究してきた梨花(イファ)女子大学環境工学科の金容杓(キム・ヨンピョ)教授は、「韓国が2022年まで年平均粒子状物質を1立方メートルあたり6μg低減するためには、北朝鮮との協力が欠かせない」とし、「今後、統一費用を削減する観点からも、南北大気環境においての協力が重要だ」と語った。

環境部は最近、統一部に対して北朝鮮観測データを共有し、さらに観測網を新たに設置して人材を派遣する事業案を提出したと発表した。政府は2006~2015年に、開城工業団地に研究人材を派遣して、定期的に大気質を測定してきたが、開城工業団地の閉鎖によって中止となった。


李美智 image@donga.com