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兄弟殺害

Posted February. 16, 2017 08:29,   

Updated February. 16, 2017 08:31

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聖書における人類初の殺害は、カインがアベルを殺す兄弟殺害から始まる。古代ギリシャの悲劇「アンティゴーヌ」には、オイディプスの二人の息子「エテオクレス」と「ポリュネイケス」が、王権を争う中、互いが互いの剣に刺されて死ぬ物語がその背景にある。神話によると、古代ローマは、ロームルスとレムスという双子の兄弟が建国した。後でロームルスがレムスを殺して、国を独り占めした。

◆神話だけではない。実際、人類の政治史は、数々の兄弟殺害で汚れている。兄弟は近いほど強力なライバルでもある。朝鮮の太祖・李成桂(イ・ソンゲ)の息子である李芳遠(イ・バンウォン)は、異母弟「芳碩」(バンソク)と「芳蕃」(バンボン)を殺して、その結局太宗となった。儒学者たちは、太宗を公には批判できなかったが、中国唐の太宗李世民(イ・セミン)を貶めて、迂回的に批判した。李世民も同様に、実の兄弟・李建成(イ・ゴンソン)と李元吉(イ・ウォンギル)を殺す「玄武門の變」を起こした。光海君(クァンへグン)は、仁穆(インモク)大妃を廃し、異母弟である瀛昌君(ヨンチャングン)を流刑に処して殺した。光海君の廢母殺弟は、その後数百年間、彼の評価を格下げした決定的名分となった。

◆北朝鮮の金日成(キム・イルソン)世襲独裁にも、兄弟殺害の遺伝子が潜んでいて、金正日(キム・ジョンイル)は異母弟「金平日(キム・ピョンイル)」の海外流刑という穏健な形で、金正恩(キム・ジョンウン)は非常にはっきりと異母兄「金正男(キム・ジョンナム)」の殺害で表現されたとでも言おうか。フランス革命の3大理念である自由・平等・博愛のうち、博愛は元々、「フラテルニテ(fraternit'e)」だ。兄弟愛と翻訳してこそ正確といえる。兄弟殺害(fratricide)を兄弟愛、すなわち兄弟間の権力分点に変えるのが民主主義の出発点だ。

◆古代ローマの専門家である米バード・カレッジのジェームズ・ロム教授は2014年3月、ロサンゼルス・タイムズに、「北朝鮮は紀元前65年のローマに似ている」という文を寄稿したことがある。氏は、「金正恩が叔父であり、スポンサーでもある張成沢(チャン・ソンテク)を殺したのは、ローマ皇帝ネロが師匠であり助言者だった哲学者セネカを殺害したこととまったく同じだ」と主張した。金正恩は異母兄弟まで殺害したことで、母親と異母弟まで殺害したネロにますます似ている。同様の狂気がローマに火をつけたように、韓半島を核で火をつけるのではないかと心配になる。