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韓国人テナー初の「バイロイト」に立ったキム・ソクチョル

韓国人テナー初の「バイロイト」に立ったキム・ソクチョル

Posted November. 01, 2016 08:47,   

Updated November. 01, 2016 09:11

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「ドイツ語も十分に話せない東洋人をキャスティングして、なぜその(東洋人)声楽家に苦労させるのか」

テナーのキム・ソクチョルさん(42)が2001年、ドイツのドルトムント劇場でドイツ語のチャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」に出演した時、地元新聞では酷評が溢れた。

15年後の今年、キムさんは「ワーグナーオペラの聖地」と呼ばれるドイツのバイロイト音楽祭に立った。ワーグナーが1876年にこの音楽祭を作ってから140年間で初の韓国人テナーの出演だ。韓国人声楽家としては、1988年にベースのカン・ビョンウンさんが東洋人で初めて立った後、ベースのヨン・グァンチョル、チョン・スンヒョン、バリトンのサムエル・ユンが音楽祭の舞台に立った。

毎年7、8月に開かれるバイロイト音楽祭は完璧なドイツ語の駆使とオペラに対する理解がなければ出演は難しい。ドイツ新聞は、キム・ソクチョルに「キャラクターをよく生かして高音も立派にやり遂げた」、「完璧なドイツ語で歌った」と賛辞を並べた。

16、18、20日、ソウル芸術の殿堂のオペラ劇場で行われる国立オペラ団の「ローエングリン」出演のために帰国したキムさんと最近、芸術の殿堂の練習棟で会った。バイロイト音楽祭の出演についてキムさんは、「主人公でなく助演を引き受けただけだ。2ヵ月以上、世界的な声楽家たちが歌って練習する姿をそばで見て、多くを学ぶことができた」と所感を明らかにした。

 

キムさんは一歩遅れて、声楽家の道に飛び込んだ。延世(ヨンセ)大学歯学科に志願して落ち、浪人したが周囲に勧められソウル大学音楽部に入学した。

「未来が不安な音楽家になることを母親は強く反対しました。もう声楽家として軌道に乗ったと言えますが、今年、音楽祭の期間に母親が亡くなり非常に辛かったです」

キムさんは声楽を学ぶ時から歌自体よりも歌のテキストを分析することが好きだった。「歌を歌う時、その言語を正しく分からずに歌うことは好きではありません。発音だけ同じようにしたからといって、歌を歌っていると見なすことはできないでしょう。歌の歌詞の意味だけでなく背景の知識も共に理解しなければならないと思います」

キムさんの妻は、インドネシアでインターナショナル・スクールの校長を務める米国人だ。「1年に数ヵ月しか一緒に過ごせないほど、あちこちを飛び回る生活です。なので、(毎日)出退勤して家族が集まって一緒に食事する平凡な生活がうらやましいです」

キムさんの目標は、今後バイロイト音楽祭で主役を務め、オーストリアのウィーン国立オペラ劇場に立つことだ。

キムさんは、インタビューの間、オペラに対する接近法やテキストの解釈、オペラの背景などについて明らかにした。まるで講義室に来たようだ。「舞台で歌うこと同様、研究して教えることがおもしろいです。私が定めた目標が叶うなら、オペラ研究者になりたいです」。入場料は1万~15万ウォン。1588-2514


キム・ドンウク記者 creating@donga.com



김동욱 キム・ドンウク記者 기자creating@donga.com