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敗訴を恨んだ放火で約50人が死傷、司法テロ対策を急げ

敗訴を恨んだ放火で約50人が死傷、司法テロ対策を急げ

Posted June. 11, 2022 09:03,   

Updated June. 11, 2022 09:03

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民事訴訟第一審で敗訴した容疑者が、相手方が依頼した弁護士事務所に火をつけ、容疑者を含め7人が死亡し、50人が負傷する惨事が9日、大邱(テグ)市内で発生した。容疑者が狙った弁護士は出張中で災難を逃れたが、事務所を共同使用していた別の弁護士や職員が被害に遭った。遺体には刺し傷や出血があり、放火直前に刃物で襲われた可能性もある。

第一審の裁判結果が気に入らない場合、控訴審や上告審を通じて法的判断を再び受けることができる。しかし、容疑者は制度的に保障された手続きを無視し、私的報復に出た。それも依頼人の利益のために法的義務を果たした弁護士を狙って犯行に出た。これは弁護士個人ではなく法治主義を脅かす「司法テロ」だ。

多くの弁護士が平素の業務で、暴言や脅迫に苦しんでいるという。訴訟当事者と最も近くにいるうえ、裁判所や検察と違って弁護士事務所は誰でも出入りできる開放された所だからだ。惨事が発生する前にも、容疑者が事務所に抗議電話をかけ、職員を困らせたという。火災が発生し、訴訟とは関係のない人々まで負傷し、命を失った。常に脅威にさらされた状況で、どのように依頼人の基本権の保護という弁護士の本分を果たすことができるのか。問題を抱えた人々がどのように安心して弁護士を訪ねて助けを求めることができるのか。

今回の惨事は、2018年に病院の診療室で診療中に患者に凶器で刺されて死亡したイム・セウォン教授事件を思い出させる。イム氏の死を機に医療関係者はもとより病院にいる患者まで暴力に無防備にさらされていることが露呈し、医療関係者に傷害を負わせた者を厳罰にし、病院の安全装置を強化する医療法改正案(別名「イム・セウォン法」)が制定された。大韓弁護士協会は、今回の事件を機に特別委員会を構成し、弁護士の安全を守る対策を設けることを決めた。弁護士が脅迫の心配なく働くことができてこそ、すべての国民が弁護士の助力を受ける権利を守ることができる。

長期的には経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位水準である司法制度に対する信頼を高めていかなければならない。そうしてこそ法治主義の根幹を揺るがす司法テロの芽を断つことができる。