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年間35万の雇用をなくした最低賃金、さらに引き上げを求める労働界

年間35万の雇用をなくした最低賃金、さらに引き上げを求める労働界

Posted April. 22, 2021 08:21,   

Updated April. 22, 2021 08:21

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来年度の最低賃金を決める最低賃金委員会が一昨日、1回目の全員会議を開き、審議を開始した。民主労総は今年、8720ウォンの1時間当たりの最低賃金を1万ウォン以上に引き上げることを要求している。一方、経営界は新型コロナで苦痛を受けている自営業者、中小企業を考慮して据え置きを主張する。例年も意見の相違は少なくなかったが、今年は双方の見解の相違が大きく、妥協は容易ではなさそうだ。

「2020年までに最低賃金1万ウォン」を公約して政権を獲得した文在寅(ムン・ジェイン)政権初期に、最低賃金は急上昇した。2018年(マイナス16.4%)、2019年(マイナス10.9%)の2年間で29.1%上昇した。賃金を上げて消費を促進すれば、企業投資が増え、成長率が高くなるというのが最低賃金引き上げの政府側の論理だったが、結果は庶民の雇用減少と自営業の没落だった。雇用ショックが大きくなると、最低賃金委は昨年の2.9%と今年の1.5%で引き上げ率にブレーキをかけたが、労働界が現政権の最後の年となる来年に「1万ウォンの約束」を履行するよう14.7%の引き上げを要求したのだ。

従業員が仕事をうまくこなして雇用主が金を儲ければ、賃金を引き上げるのは当然のことだ。最近、情報技術(IT)会社やゲーム会社では実際、このようなことが起きている。問題は売上と利益は横ばいなのに、賃金のみが上がれば、雇用主は従業員の数から減らすという点だ。最低賃金が16.4%上がった2018年の1年間だけで、最大34万7000件の雇用が消えたと、最近韓国労働経済学会は試算した。

従業員を持つ自営業者の数が、先月まで28カ月連続減少したのに対し、従業員を持たない「一人社長」は26カ月連続して増えたのは、賃金負担を減らそうとする自営業者が増えたためだ。人件費の負担が増えると、コンビニやカフェの店主らは、「14.5時間のアルバイト」だけを採用している。週15時間以上働いた職員に1日分の日当が支給されなければならない「週休手当」でも減らそうというものだ。昨年、労働者の15.6%が最低賃金に満たない賃金を受け取ったのも、「悪徳事業主」が多いからではなく、最低賃金を支払えない雇用主が増えたからだ。

特に経済回復の時点さえ予測が難しい時、最低賃金の引き上げは社会弱者を雇用市場の外に追い出し、大企業、公企業職員の処遇だけを改善し、「賃金二極化」を深刻化させ得る。今は、最低賃金の引き上げより、業種や地域の違いすら認めない硬直的最低賃金制度などを柔軟に変え、一つの雇用でも多く創出するのが重要な時期だ。