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金正恩氏の動静不明が露呈した体制の不透明さ、そして振り回される脆弱な南北関係

金正恩氏の動静不明が露呈した体制の不透明さ、そして振り回される脆弱な南北関係

Posted May. 04, 2020 07:53,   

Updated May. 04, 2020 07:53

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健康不安説が浮上した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が動静不明20日ぶりに肥料工場の竣工式に姿を現わした。劇的な再登場で自身をめぐる死亡説をしずめた。だからと言って正恩氏の20日間の動静が明らかになったわけではない。国際社会の情報戦と憶測を煽った今回の事態は、21世紀の一流国家では到底想像もできない異常ぶりだ。このような北朝鮮体制の善意に頼って非核化交渉をし、関係進展を図らなければならない南北関係の脆弱性を改めて確認させる。

正恩氏の活動を公開した翌日の3日、北朝鮮軍は非武装地帯(DMZ)で韓国軍に対して銃弾を発射した。軍事境界線(MDL)での敵対行為を禁止した9・19南北軍事合意を初めて違反した。正恩氏が姿を見せない状況でも南北鉄道連結の準備に着手した韓国政府の南北協力再開の努力に冷水を浴びせたも同然だ。韓国政府は、北朝鮮側の偶発的な誤射の可能性に重きを置いている。軍当局が北朝鮮側の意図を予断することは、真相把握を難しくしかねない。たとえ偶発的な誤射だとしても、南北軍事合意の厳然たる違反であることは明らかなので、北朝鮮側の説明と謝罪がなければならない。

北朝鮮はこれまでミサイル・放射砲発射で挑発しても米国など国際社会の態度変化を引き出すことができなかったが、今回は正恩氏が姿を見せなかったことで、国際社会の関心を引いた。むろん、北朝鮮の最高指導者が長期間公式メディアから消えて再び劇的に登場したことは、今回が初めてではない。正恩氏が20日以上姿を見せなかったのは執権後6度目。しかし、今回は米国の攻撃など身の脅威を感じるほどの状況的要因がないのに姿を現わさず、死亡説などが浮上した。北朝鮮は、今回の正恩氏の動静不明を通じて再び関心を向けさせる効果を上げたが、体制の不透明性を再び露呈することで、正常国家の軌道をまたも離脱したということも明らかになった。

今回の正恩氏の動静不明論議は、核武装した北朝鮮内部の動きに対する国際社会の情報力がどれほど脆弱かを如実に示した。正恩氏が姿を見せなかった間、韓米の情報交流が円滑だったのかも点検しなければならない。様々な憶測が飛び交う状況で北朝鮮に特異な動向はないと一貫した韓国とは違って、トランプ米大統領は「すべてのことが問題ないことを望む」と疑惑を提起するなど韓米両国の指導部の発言で何度も見解の相違が露呈した。北朝鮮体制に関する韓米間の情報の共有は、核を頭に載せて過ごさなければならない韓国の現実では、少しの隙も容認してはならない。トランプ氏は11月の大統領選まで北朝鮮に対して今の状況を維持する管理モードに入る可能性が高い。北朝鮮の情報に対する韓米両国の協力強化がより切実になった。