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58年ぶりの評価

Posted March. 12, 2020 08:24,   

Updated March. 12, 2020 08:25

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子どもが最もかわいい時がいつかと聞かれると「眠っている時」と答える親が多い。様々な意味が含まれるだろう。印象派の傑作の一つとされる「ゆりかご」も、眠っている赤ん坊と赤ん坊を見つめる母親を温かい視線で捉えた絵だ。この絵を描いたベルト・モリゾは、第1回印象派展に出展した「紅一点」だった。エドゥアール・マネのミューズでありモデルで知られているが、実は実力派の画家だった。23歳の時、国家公式の展覧会であるサロン展に初めて入選した後、1874年の第1回印象派展が開かれるまで6度もサロン展に入賞し、実力が認められた。

絵の中の若い母親は、画家の姉のエドマ。彼女も結婚するまでは画家だった。当時、女性が画家になったり、正式に絵画の教育を受けたりすることはほとんど不可能だったが、彼女たちは裕福なブルジョアの家庭に生まれたおかげで、幼い頃から絵画の授業を受け、才能を培うことができた。姉妹は約10年間、共同で作業した。しかし、姉は結婚と出産で絵をあきらめるほかなかった。最近の言葉で「経断女(経歴断絶女性)」になったのだ。姉妹は手紙を交わし、互いへの懐かしさと寂しさを吐露した。姉は、未婚だった妹を心から応援し、自分の分もやり抜くことを願い、妹はそうすると約束した。実際、モリゾは結婚後も活動を続けた。出産した年を除いて印象派展に毎年参加した情熱的な印象派の画家であり、一生筆を置かなかった。歴史画は学ぶ機会がなかったので、画家自身の経験で素材を探し、家族や友人をモデルに温かい日常の風景や女性の暮らしを描いた。

モリゾの代表作である「ゆりかご」は第1回印象派展で初めて公開されたが、女性画家が描いたという理由で評価されなかった。酷評も注目も受けず、買い手もいなかった。絵はエドマの家に保管され、1930年にルーブル博物館に所蔵された。58年ぶりに得た正当な評価だった。

美術評論家