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見えない地球温暖化の逆襲

Posted February. 15, 2020 08:42,   

Updated February. 15, 2020 08:42

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サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』に出てくるバオバブの突然死が続いている。熱帯アフリカを象徴するバオバブは2千年以上生きるので、一生の間に死ぬのを見ることは容易ではない。にもかかわらず、最近数年間、突然死が続いているのだ。2018年にネイチャーに掲載された研究結果によると、バオバブの突然死は地球温暖化のためだ。気候変動に適応できずに起きた現象だ。

バオバブの事例のように、地球は温暖化に対して目に見える警告を送っているが、私たちの反応は生ぬるい。私たちの生活に直接的な被害を与えないと感じるためだ。しかし実状は異なる。

とりわけ暖かかったこの冬は、世界エネルギー市場にとって災いも同じだった。米国の気象学者のジョー・ウォーズニキによると、米国の暖房需要は最近10年の平均値より12%低く、アジアは14%、欧州は13%低かった。北半球が全体的に暖かく、暖房需要が10%以上減ったのだ。暖房需要の減少は、石油や天然ガスの消費減少を招き、価格下落につながった。最も代表的な暖房用化石燃料とされる天然ガスの場合、米国の先物市場で前年より30%下落して取り引きされている。このような現象が続けば、国家の収入の40%を石油と天然ガスの販売に依存するロシア発の経済危機が全世界を襲う可能性もある。

最近、世界的な問題になった山火事も地球温暖化に大きな影響を受けている。地球温暖化と山火事はあまり関連がないようだが、専門家たちは山火事の規模が大きくなる理由に地球温暖化で乾燥した地域が増えていることを挙げた。昨年11月に発生した米カリフォルニアの山火事で保険会社に請求された保険金は14兆ウォンにのぼる。

日本の研究チームが英国の科学ジャーナル「ネイチャー・クライメイト・チェンジ」に発表した研究結果によると、地球温暖化が今と同じ速度で進行すれば、今世紀末に経済的被害が世界国内総生産(GDP)の9%に迫るという。これは人類のすべての経済活動の10分の1が地球温暖化を放置した反対給付で消えることを意味する。ただし、同研究チームは、パリ協定を順守し、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑える場合、被害額を世界GDPの0.4~1.2%に減らすことができるという見通しも示した。

 

地球温暖化によってすでに数兆ウォンの被害額が予測される海外とは違って、国内では東海(トンヘ・日本海)でメンタイの代わりに済州島が主産地だったブリが獲れたり、カエルが1ヵ月ほど早く目覚めて凍死するなど小さな生態系の変化が主に報告されている。国内の被害が大きくないからといって、地球温暖化を対岸の火事と見てはならない。

人類はすべての問題を科学の力で解決できると自信を持ち、開発を推進してきた。しかし、地球温暖化は人類が持つ科学の力をあざ笑うかのようにすでに実生活を越えて経済全般にも否定的な影響を及ぼしている。今からでも私たち皆が「地球人」という自覚を持って地球とともに生きていく方法を模索しなければ、未来に科学に注ぐ財源すら不足するかもしれない。