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無影塔の影の労い

Posted January. 22, 2020 07:53,   

Updated January. 22, 2020 07:53

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芸術家は悲しみに取り分け敏感に反応する。アルゼンチンの設置美術家レアンドロ・エルリッヒの最新作は、そのような属性を見事に示している。彼は、仏国寺(ブルククサ)の釈迦塔(ソカタブ)にまつわる悲しい伝説を偶然聞いたが、そのまま見過ごさなかった。北ソウル美術館に展示された「塔の影」がその結果だ。

アサダルとアサニョの伝説は、誰が話すかによってその内容が少しずつ変わるが、それでもストーリーの骨格は大きく変わらない。1200年前、百済の石工アサダルが仏国寺に来て多宝塔(タボタブ)を完成して釈迦塔を積む時だった。アサニョが百済から新羅まで夫を探しにきた。数年が経っても帰ってこない夫への懐かしさのためだった。しかし、仏国寺では、塔を積むことの妨げになるとして、夫に会わせてもらえなかったし、彼女が来たことも夫に教えてあげなかった。彼女は絶望した。すると誰かが、下の村の貯水池の傍に行って待ってと言った。その貯水池の名前が影池、すなわち影の池なので、塔が完成したらそこに影が映るだろうと。しかし、いくら待っても影は映らなかった。釈迦塔は無影塔、すなわち影のない塔だった。アサダルは塔を完成後、そこに行ったが、彼女はすでに死んでいなかった。影を待って水に落ちて死んだのだった。

エルリッヒは、影を垂らして彼らを慰めたかった。だから作ったのが「塔の影」だ。彼の作品は、上から見れば、釈迦塔が水に影を落としている形状である。ところが下から見ると、影は、実際ではなく、逆に付けておいた塔だ。作家は二つの塔の間に3センチの厚さの透明なアクリル板を設置し、その上に水を満たした。だから上から見れば、下の塔が水に映った影に見える。錯視効果だ。彼はどこかをさまよっていたはずのアサニョの悲しい魂と愛する妻の死に空しく崩れたアサダルの心をそのような形ででも慰めたかったのだろう。異邦人の芸術家が、他国の伝説を思惟する方式が非常に温かい。

文学評論家・全北(チョンブク)大学教授