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ガラス…階段…車…彼女の目が届くのは全てがキャンバス

ガラス…階段…車…彼女の目が届くのは全てがキャンバス

Posted January. 11, 2020 09:36,   

Updated January. 11, 2020 09:36

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「家族が一緒に集まる食卓は、癒しを受け、エネルギーを得て再び世間に出る準備をするところでしょう。毎日直面しなければならないボウルに、どのような絵を描きいれるかについて絶えず悩みました」

新年早々、ソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の廣州(クァンジュ)窯店で、韓国国内初の「ウィンドウペイントアーティスト」ナナン(本名=カン・ミンジョン・41)に会った。ここではナナンならではの自然主義の感性が漂う濃い緑色の葉と水色の菊の花を描いた陶器鉢の作品を展示している。

彼女は、陶磁器が窯の中で焼けたら色が変わるので、6回もテスト後、希望する緑を見つけたという。「昔、士人が井戸端の婦女子に水を求めるとき、食もたれすることを気にして、葉を浮かべたじゃないですか?菊は、霜が降りる天気にもまっすぐに花を咲かせます。険しい世の中に出る前に、食卓だけでは葉を浮かべてくれた思いやり、菊の強さを満たして出ていけたら、という願いからこのようなデザインをすることになりました」

ナナンは、廣州窯だけでなく、国内外企業と積極的にコラボ(協業)してきた代表的作家だ。大韓(テハン)航空、ロクシタン、新世界(シンセゲ)SSG、パスクチーズ、ストーンヘンジなどの化粧品、ファッション、流通企業まで数々のブランドとのコラボレーションにより、大衆と疎通してきた。

ソウル芸術大学で広告創作を専攻したナナンは、1999年からストリートマガジン「ランチボックス」とLGテレコムで発行した「カイ」マガジンで、エディタとイラストレーターとして活動しながら絵を描き始めた。紙から出発した彼女のキャンバスは、様々な変身を繰り返した。まず窓ガラス。2004年、友人の家の窓に白いマーカーを利用して絵を描いた。夜中に描いたが、朝起きてみたら、嘆声が出てきた。太陽の光が映った影が、床に美しい模様を作り出したのだ。コピーライターだった友人は、「ウィンドウペイント」という名を付けてくれたし、彼女は、国内初のウィンドウペイントアーティストとして活動することになった。それから4か月後、ソウル芸術の殿堂ハンガラム美術館の窓ガラスに絵を描き、1年後はニューヨーク、ロンドン、香港でウィンドウペイント展を開いた。

ソウル駅の空港鉄道に向かうエスカレーターの両方のガラスの壁の計80メートルの区間は、最も大きくて長いキャンバスだった。全世界の航空就航都市の風景を描いたこの作業は、4泊5日がかかり、2013年に「消費者が選んだ今年の広告賞」を受賞した。フランスの自然主義化粧品ブランド・ロクシタンの本社からも、ソーシャルネットワークサービス(SNS)に掲載されたナナンの絵を見て連絡が届いた。「最初はスパムだと思った」という彼女はフランスに渡り、プロヴァンスの庭からインスピレーションを得て、絵を描いた。ナナンがコラボしたロクシタンのハンドクリームは、全世界の免税店と機内で販売された。「母に直接見せたくて、わざわざ済州島(チェジュド)行きの飛行機のチケットを購入して機内購入もしました」

彼女を真の「親孝行娘」と感じてくれた作業は、2015年の新世界SSGとのコラボレーションだった。今度はキャンバスが黄色い配送車だった。「母はいくら高価な化粧品やブランド品、ファッションとコラボしても、ブランドをよく知りませんでした。ところが、道行く途中、黄色い配送車を見るたびに、『うちの娘が行った作業だ』と誇りに思いました」

彼女は偶然、自分のソウル梨泰院(イテウォン)の作業室前の階段の隙間に咲いている雑草を発見して、地面に小さな植木鉢を描いたりもした。いわゆる「ナナンガーデニング」プロジェクト。今回のキャンバスは、セメントの階段だったわけだ。このプロジェクトは、ソウル市の町都市再生事業のマニュアルに選ばれた。大衆と疎通しようとする彼女の実験は、「ロングロングタイムフラワー」につながった。友人の結婚式の時、紙で作った花をブーケとして渡したところ、「あら、枯れない花だね!」と喜んだ。そこで彼女は2015年、国立現代美術館で開いた展示でナナン花屋を開いた。紙で作った花を、1輪に5000ウォンで売って、観覧客が自分だけの花束を作って家に持ち帰ることができるようにした。

「観覧客の一人が、がん闘病をするおばあちゃんのためにロングロングタイムフラワーで花束を作ってあげた写真を送ってきました。病院には花を買っていくことができないので残念だったが、おばあちゃんが大変喜んだそうです。また、生花アレルギーがあった妻に、初めて花をプレゼントしてプロポーズしたというエピソードも感動的でした。コミュニケーションを通じてエネルギーを得ることができて、作家として幸せでした」


田承勳 raphy@donga.com