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新しい世の中、「数字の神」を迎えよ

Posted January. 10, 2020 08:54,   

Updated January. 10, 2020 08:54

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水にびしょ濡れだった時代には、よく分からなかった。出てくるやいなや、神の前に頭を下げることになるとは。事前に知っていたなら、十ヵ月ではなく100年でも閉ざされていることを・・・。

地球に出てくるやいなや、目の前には1から12までが描かれた丸い円が現れた。不吉な前兆だった。初めて見る母親の目が二つで、鼻と口は一つという事実に安心することを知る前に私は祭壇の前に連れて行かれた。髪は、世の中を空気のように覆っていた。番地や電話番号を記憶することまでは遊びのように楽しかったが・・・。私には住民登録番号が与えられ、そこに書かれた数字は運命を時計の針のように示した。およそ20年間、テスト用紙に書かれた真っ赤な数字が私を困らせた。その神に服従しなければならなかった。時には従順だったので幸せでもあった。

信仰の告白を残念に思うつもりはない。「数字の神」は偉大だ。どこへ行ってもいる。この奇怪な偶像は、唯一神を祀る礼拝堂にも座っている。信徒数、献金金額・・・。平然に。上席にあぐらを組んで。目には見えなくても、心でははっきり見ることができる。

1.バスや電車に乗ると、前と隣の人の携帯電話の画面を反射的に0.5秒間見ることになる。先日、ソウル、鍾路(チョンロ)で市バスに乗って、めったにない光景に遭遇した。不思議にも17秒間も見つめた。その人の手は携帯電話の上で秒速5センチで動いた。ツイッターでハッシュタグ検索をした後、左手の親指で画面を押し出し、右手の親指で数百個の掲示物についたリツイートボタンを順に押す行為は、機械的だった。チャーリー・チャップリンの無声映画に出てくるコンベヤーベルト作業者のようだと言おうか。手と脳の一部の機能がすでに機械に進化している人もいた。

2.「数字の神」は私たちを徹底的かつ根本的に支配した。21世紀に入って、神の勢いは広がっていく。SNSの「いいね」の数、動画閲覧回数が理性と感性を圧倒し、個人と集団に絶対権力を与える。周知のように権力とは、概ね取り引きが可能だ。名のあるファッション雑誌でも、インスタグラムのフォロワー数を数百万ウォンで取り引きするという。この教会では、数字が大きな人が主教でなければ教祖だから。数字が大きくなれば、いや大きくなってこそ信徒がついてくる。有名なことが有名で、人気があることに人気があるのはゲームのルールだ。傾向を越えて律法だ。

3.チャートはすでにゆがんだ。「スムス」(息をするようにストリーミング)と「総攻「(総攻撃)はもはやアイドルのファンの話ではない。ショッピングモールも、時に政党までそれを助長する。「スムス」に勝てるのは、息すらしない機械だけなのか。音源の買い占め疑惑の震央地が、まさに機械的な「スムス」だったということは少しアイロニーだ。好きな歌手のチャートの成績を上げるために聞こうが聞くまいが曲をつけ、友人や親のIDを借りて一日中同じ曲を再生しても勝つことはできない相手、なので「ハリーポッター・シリーズ」中のヴォルデモート卿のような無名歌手が現れたと信じ、熱心なファンは驚いて疑い、積極的に声を出し始めた。

4.「数字の神」の存在感は不思議だ。越えることのできない4次元の壁だ。コメント欄に投稿した直後、私の視線はそれだけに向かう。数学の公式で添字ほど小さな「1」または「2」、「3」または「4」。小さな物に対する尊敬がこれほどなのに、伝説はさぞかし大変だろうか。トロイカ(3)、二大山脈(2)、最高(1)を敬う心は「火星人」であれ知性人であれ大差ない。

5.ビックデータ、スマートの時代に「数字の神」はさらに露骨で巨大な恐竜となって現れる。 最近起こった音源買い占め疑惑、テレビ番組の視聴者投票操作の論議の前に乱用がある。購入だけでなく閲覧と共有まで全て数字で容易に集計されて公表される時代に、ファンの活動は1万ウォンのCDを数枚買うことに止まらない。人気のアイドル歌手ごとに公然と活動する「ボウティング・チーム」のアカウントは、人間で稼動する工場だ。授賞式やアンケートがあるたびに「チーム」は有機的に動く。投票を促してチャートを歪め、メディアが抱く人気の像を曲げる。多数の活動は不法でも、恐らく不道徳でもないだろう。むしろ信仰生活に近いかも・・・。

6. 再度打ち明けるが、私は本当に「数字の神」を愛する。神の世の中は美しい。


イム・ヒユン記者 imi@donga.com