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生半可な公正、偏った公正

Posted January. 06, 2020 08:30,   

Updated January. 06, 2020 08:30

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神も羨む職場という韓国銀行(韓銀)は、新入行員をブラインド方式で選抜する。志願履歴書には、出身学校等の個人を特定できる情報を記入できないようにする。筆記試験の点数が事実上合否を決定する。誰にでも公平な機会を提供したい趣旨だ。ところが、韓銀側はブラインド採用後、合格者のソウル大学経済学科への偏り現象が深刻化したという。筆記試験の方式がこの学科にさらに有利だからだ。韓銀は、他の組織のように人事・総務が上手な人、対外業務が上手な人、組織管理が上手な人が等しく必要である。今のような採用方式では、使用者の選抜権も、特定グループを除く残りの志願者の合格可能性もすべて制限される。その狙いは公正だったかもしれないが、その結果はそれほど公平ではない。

公共機関のブラインド採用は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任直後の2017年6月に全面導入された。その前後を比較すれば、8大金融公企業のSKY(ソウル大学、高麗大学、延世大学)の割合が28.1%から22.1%に減少した。しかし、就活者たちが特に好むソウル所在の金融公企業5社(金融監督院、KDB産業銀行、韓国輸出入銀行、IBK企業銀行(企銀)、預金保険公社)だけを見れば、企銀(キウン)を除く4社はこの割合が50%前後で、以前よりも高くなっているか、変化がない。ここに韓国銀行までを含めれば、「韓金産輸」(韓国銀行、金融監督院、産業銀行、輸出銀行)のSKY偏りが激しくなっていることを示している。

文大統領は2日、新年合同あいさつ会で、「成長の原動力であるイノベーションを後押しすることも公正への信頼だ」と語った。革新を後押しするのは「規制改革への信頼」ではなく、「公正への信頼だ」と述べたことに戸惑うばかりだ。いずれにせよ、文在寅政府の重要アジェンダである公正経済は今年で4年目である。公正経済の本質は、資本の不公正な市場行為を政府の介入で遮断し、是正することである。公正への信頼が生じるためには、その成果を体験的で繰り返して確認する過程が必要だが、これまで中小企業と小商工人が公正経済の洗礼を受けて都合がよくなっているか疑問である。

公正への信頼が生じるためには、公正経済の手段が公平かも考えなければならない。昨年末、国民年金基金運用委員会は、経営参加目的の株主権行使のガイドラインを議決した。国民年金が、企業の取締役解任などを要求できるという内容だ。民間資本を公的資本で統制するというのである。資本の逸脱行為で企業価値が毀損すれば、株主の権限を行使することは当然である。問題は、政権の息に無防備に振り回される支配構造と意思決定構造を持っている国民年金が、果たして公正な審判者の役割を果たすことができるかということだ。

国の予算より多い700兆ウォンの基金を運用する国民年金基金の運用本部長は、国民同意とは関係なく、保健福祉部長官が勝手に任命する。このため、長官人事検証より基金運用本部長の人事検証がより必要だという指摘が続いてきたが、政府と政界はこれまで無視している。大統領が任命する国民年金公団の理事長職は、現政権に入って、最初から論功行賞のポストに転落した。全州(チョンジュ)で第19代国会議員を務めた金成柱(キム・ソンジュ)理事長は、総選挙に出馬するとして先週辞意を表明した。国民年金公団は全州にある。

政府が(ピョンチャン)平昌冬季オリンピック時の女子アイスホッケーの南北単一チームのために、公正の逆風を受けたように、公正か不公正かを判断する基準は、多元的にならざるを得ない。多くの参加者が様々な形で参加している市場での公正は、なおさら善意と政策意志だけでは判断が難しい時が多い。社会主義経済の価格統制がそうだったように、その結果はなおさら不公正になりかねない。公正なふりだけをする生半可な公正や、公正の基準を相手にだけ突きつける偏った公正は言うまでもない。


コ・ギジョン記者 koh@donga.com