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詐欺にあったお金

Posted November. 11, 2019 07:40,   

Updated November. 11, 2019 07:40

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「お金を有効に使える方法の中で、最も有益なことは詐欺にあうことだ。なぜなら、その見返りとして賢明さを得ることができるからだ」(ショーペンハウアー「希望について」)

この記事を高校生の頃、偶然読んだ時は詭弁だと思った。しかし、この悲観主義哲学者の冷笑的語句を、「マインドセット(心構え)」の理論に接してからは違うように感じるようになった。成長マインドセットを持つ人には、詐欺にあったお金さえ有益なお金になりうることを悟ったからだ。社会心理学と発達心理学の碩学であるキャロル・ドゥエック米スタンフォード大学教授の理論によると、ミスを通して何を得るかは、その人がどのようなマインドセットを持っているかによって決定されるという。固定マインドセットに左右される人は、人々の才能や価値はそもそも決まっていると信じているので、反省と学びがない。しかし、成長マインドセットのある人は、生まれつきの才能も重要だが、努力によって変わりうると信じている。これらの人々には、今誰がもっとうまいかを比較するよりも、今日の私が昨日の私よりどれだけさらに発展したのかを比較することに、より大きな意味を置く。したがって、今犯した間違いは気に障るが、今後直していけばいいと思う。

このような成長マインドセットを持っていれば、常に鏡を持って生きるような生活の力を得る。当面の失敗に落胆せず、むしろ失敗に鑑みて意味を探し、学ぼうとするのだ。韓国は、おそらく最も競争の激しい国の一つだ。しかし、競争の過程で勝利することに劣らぬほど重要なことは、これを通じて学ぶことができるということがわかっていれば、さらに成長できるのではないかと思う。昨日良くないことがあったのか?これに対してどのように対応するかによって、そのことは、単なる不幸にとどまることもあり、新たな成長に足掛かりになる祝福になることもあるだろう。ショーペンハウアーの名文句のように、詐欺にあったお金は私たちを賢くすることができる。


キム・ソンギョン記者 tjdrud0306@donga.com